スペイン 気ままに ネット旅

スペインをネットで気ままに旅するブログ

【スペイン図書館】サンティアゴ・デ・コンポステーラにある公共の中央図書館

f:id:kimamy:20211205092418p:plain

 今日は、気ままに、ガリシア州ラ・コルーニャ県の都市、サンティアゴ・デ・コンポステーラ(Santiago de Compostela)にある、公共の中央図書館(Biblioteca Pública del Estado en Santiago de Compostela – Ánxel Casal)にやってきました。サンティアゴ・デ・コンポステーラといえば、サンティアゴ巡礼の終着地。エルサレムバチカンとともに、キリスト教の3大聖地の1つです。フランスからピレネー山脈を超え、総距離およそ800キロメートル。巡礼の象徴であるホタテ貝の貝殻を身に着けた巡礼者たちが目指すのがこの街にあるゴシック様式の大聖堂です。正門をくぐるとすぐにあるのが、「栄光の門」(Pórtico de la Gloria)。その中央のアーチを貫く柱の上部から聖ヤコブスペイン語ではサンティアゴ)が彼らを出迎えてくれます。巡礼を終えた夜には、ガリシア地方の美味しい魚介類料理と、さっぱりとした白ワインが待っています。中世風の衣装を身にまとった学生たちの流しの小楽団、トゥナ(tuna)の奏でるセレナーデを聞きながら夜は更けていきます。

 さて、このような街にある図書館はどんな図書館なのでしょうか。主な統計値を書きます。

  • 【主な統計値(2019年)】
    建物内図書館利用エリア:3,704㎡
    入館者数:294,369人
    登録者数:42,891人
    所蔵資料総数:141,566件
    貸出総件数:152,954件
    (出典:スペイン文化・スポーツ省のページ

 この図書館のホームページを見て、まず気づくのは、デフォルト表示言語がガリシア語であること。スペインが多民族国家であることに改めて気付かされます。ガリシア州の他、デフォルト表示言語がその地方の言語であるのは、これまで見てきた中では、カタルーニャ地方でした。バレンシア地方の図書館はバレンシア語ではなく、スペイン語がデフォルト表示言語でした。残るはバスク地方ですが、まだ出てきていないのでデフォルト表示言語がバスク語であるのかどうか気になります。スペイン語には右上の言語切り替えボタン(Galego/Castellano)で切り替えることができます。 
 現在の図書館は、2008年に開館しました。近代的な4階建ての建物です。この図書館も他の公共の中央図書館と同じように、アクセシビリティの向上に努めています。読んでいて、これまで見てきたなかではあまりなかったものとして、パソコンの周辺機器、特に、種類の異なるいろいろなマウスやキーボードを取り揃えていることに行き届いた配慮を感じました。以下のようなものが備えられています。

 これら周辺機器の他にも、JAWS(Job Access With Speech)という、人の声を認識してマウスの代わりにパソコン操作の補助をする専用ソフトなども積極的に活用しています。
 また、耳の不自由な子どもの利用者のために、毎月の最終土曜日、手話による読み聞かせ会を行っています。手話をするスタッフの隣では、もう1人のスタッフが大きな声でそのお話を朗読します。そうすることによって、耳の不自由な利用者もそうでない利用者も楽しむことができるということです。
 珍しいサービスとして、ボードゲームの貸出しもありました。貸出し期間は21日。延長すればさらに21日借りることができます。注意事項には、付属のコマをなくさないようにと書かれていました。たしかになくしてしまいそうですね。家族や仲間みんなで楽しんで欲しいとのことです。ボードゲームの他にも、子どもコーナーに、パソコン用のゲームなど楽しい時間を過ごすための用具をたくさん用意しているので、積極的に利用して欲しいとのことです。他にどんなものが用意されているのでしょうか、気になりました。
 子どもにだけではありません。ご高齢の利用者に対しても、様々なサービスが用意されています。特に興味をもったのは、55歳以上の利用者を対象とした学習教室です。対象は、教育を受ける機会のなかった人、もしくは、もう1度学び直したい人だそうです。以下のようなプログラムが用意されているとのことです。

  • 簡単な数学
  • 読み書きの練習
  • 地理の基礎

 講師は、ガリシア州の図書館でボランティアプログラムを展開する会の方なのだそうです。定員は10名。開講は、10月の終わりから次の年の6月まで。毎週火曜日と水曜日の2回。火曜日は、11時15分から13時まで、水曜日は、10時30分から12時までとのことです。スペインの学校は、日本とは異なり、9月に始まり6月に終わるので、週に2回とはいえ、開講期間は学校のスケジュールと同じです。
 最後に、図書館の名称に付されているアンヘル・カサル・ゴセンヘ(Ánxel Casal Gosenxe、1895-1936)は、ラ・コルーニャ県出身の編集者、政治家であり、この街の市長でもありました。共和派の立場から言論の自由擁護に努めましたが、1936年7月のクーデター勃発後、反乱軍に捕らえられ、処刑されたそうです。
 以下、図書館のホームページです。ご興味があれば、どうぞ!

 最後まで読んでいただいて、有難うございました。

 他の【図書館】も見てみる!

f:id:kimamy:20211205092418p:plain

スポンサーリンク

 

 

ページトップへ

【スペイン図書館】サラマンカにある公共の中央図書館

f:id:kimamy:20211205092418p:plain

 今日は、気ままに、カスティーリャ・レオン州サラマンカ県の県都サラマンカ(Salamanca)にある、公共の中央図書館(Biblioteca Pública del Estado en Salamanca – Casa de las Conchas)にやってきました。サラマンカは、スペインの西部に位置する県。西側でポルトガルと国境を接しています。県内のほとんどの部分は、メセタ(Meseta)と呼ばれる台地に覆われ、標高は約700メートルと高めです。北西にはドゥエロ川(Río Duero)が流れています。その流域でつくられるワインは、「リベラ・デル・ドゥエロ(Ribera del Duero、ドゥエロ川のほとり)」と言われ、美味しくてとても有名です。実際に味わってみたい方は、「リベラ・デル・ドゥエロ」のワインをまとめた販売ページを見つけましたので、ご興味があれば、どうぞ!日本人に合う味、飲み飽きないおいしさ、造り手の情熱が感じられるワインの紹介に努めるお店、フィラディスワインクラブ30の中の「リベラ・デル・ドゥエロ」のワインをまとめた販売ページです。他にも、スペインには美味しいワインがたくさんありますので、ワインがお好きな方は、是非ワインショップの特集ページもご覧ください!
 少し話がそれてしまいましたが、県都であるサラマンカは歴史のある街。12世紀からレオン王国の主要都市の1つでした。そして、サラマンカでなんといっても有名なのが、サラマンカ大学。13世紀初めの創立で、ヨーロッパ全体でも最古の大学の1つであるとか。また、街の中心にあるマジョール広場(Plaza Mayor)もその美しさで有名です。周辺では、テンサイ、コルクガシ、小麦の栽培や、皮革、ワイン醸造、製粉などの産業が盛んなのだそうです。

  さて、このような街にある図書館はどんな図書館なのでしょうか。主な統計値を書きます。

  • 【主な統計値(2019年)】
    建物内図書館利用エリア:3,559㎡
    入館者数:366,110人
    登録者数:55,213人
    所蔵資料総数:196,962件
    貸出総件数:117,818件
    (出典:スペイン文化・スポーツ省のページ

 ホームページによれば、現在の図書館のサービスが始まったのは、1993年なのだそうです。図書館の名称に付さているカサ・デ・ラス・コンチャス(Casa de las Conchas)は、「貝の家」の意味。それもそのはず、建物を見れば一目瞭然で、建物の壁面に、ホタテ貝の殻の彫刻がいくつもついているからです。ホタテ貝は、サンティアゴ巡礼の象徴。この街もサンティアゴ巡礼の道の中継地だったのですね。なお、この建物は、15世紀後半に建てられたゴシック様式の建物で、サンティアゴ巡礼者を守る騎士団の騎士の個人宅であったそうです。外観は重厚な石造りですが、内部は近代的な設備が整っています。Wi-Fiも完備、インターネットに接続できるパソコンは15台設定されています。充実したネット環境です。
 この図書館では、音楽、映画、演劇について、市民への普及活動を積極的に行っています。ホームページには、コンサート、映画の上映会、演劇の開催プログラムがたくさん載っています。中でも、演劇のプログラムに惹かれました。2021年9月14日から12月18日まで、カスティーリャ・レオン州の主催で、「すべての市民に開かれた劇場」と題し、数々の演劇が開催されています。どれもおもしろそうですが、1つクリックして詳細画面を見てみました。劇のタイトルは、「小さなキホーテ」(El pequeño Quijote)。1997年に同じ州のアビラ(Ávila)で結成された劇団「新劇」(Nueva Escena)によりつくられた演劇で、内容は、小さなキホーテとアロンソ少年の繰り広げるドタバタ劇。2人の行う想像力豊かな遊びの中で、ドン・キホーテとサンチョの冒険が蘇ります。2人とも遊びにあまりに夢中になりすぎて、空想と現実の世界の区別がつかなくなってしまうほど。どんな演劇なのか、見てみたいです。

 また、この図書館は、ラジオ放送を配信しています。配信日時は、毎週水曜日午後から30分。サラマンカ大学の学生との共同配信で、その目的は、図書館活動の宣伝や読書の普及促進のためだとか。“Caja de resonancia dd-mm-yyyy”(例:”Caja de resonancia 20-10-2021”)という部分をクリックすると、放送を聞くことができます。なお、“Caja de resonancia”の意味は「共鳴箱」です。やさしくて、よい名前だと思いました。

 最後にもう1つ。カスティーリャ・レオン州の誇る作家、カルメンマルティン・ガイテ(Carmen Martín Gaite、1925-2000)のコレクションをご紹介します。コレクションは、カスティーリャ・レオン州が所有しており、そのカタログをネットを介して州内の図書館で共有しています。彼女は、1925年にサラマンで生まれ、1991年に、カスティーリャ・レオン州文学賞を受賞したそうです。その受賞のおかげで、北米をはじめ、彼女の作品は世界中に広まったとのこと。コレクションには、小説、エッセイ、短編、戯曲、詩、その他、私的な文書類も含まれているそうです。彼女の膨大なノートや下書きからは、作品の構想を練る過程はもちろん、日常生活のちょっとした1コマの様子も伺われ、彼女の人生を理解する上で欠かせない資料であるそうです。

 以下、図書館のホームページです。ご興味があれば、どうぞ!

 最後まで読んでいただいて、有難うございました。

 他の【図書館】も見てみる!

f:id:kimamy:20211205092418p:plain

スポンサーリンク

 

 

ページトップへ

【スペイン図書館】ポンテベドラにある公共の中央図書館

f:id:kimamy:20211205092418p:plain

 今日は、気ままに、ガリシア州のポンテベドラ県の県都、ポンテベドラ(Pontevedra)にある、公共の中央図書館(Biblioteca Pública del Estado en Pontevedra – Antonio Odriozola)にやってきました。ポンテベドラ県は、ガリシア州南西部に位置し、大西洋に面しています。県の南部は、ポルトガルと国境を接しています。山地が多く、海岸線は入り江が多く、美しい景観が広がります。県都であるポンテベドラは中世からの港町。コロンブスアメリカ大陸を発見したときに乗っていた、サンタ・マリア号は、この街の造船所でつくられたという説もあるそうです。産業としては、布、皮革、陶器、材木、などの生産が盛んです。その他、穀物、ワイン、果実の輸出も盛んであるとか。

 さて、このような街にある図書館はどんな図書館なのでしょうか。主な統計値を書きます。

  • 【主な統計値(2019年)】
    建物内図書館利用エリア:3,355㎡
    入館者数:184,129人
    登録者数:36,839人
    所蔵資料総数:245,582件
    貸出総件数:97,952件
    (出典:スペイン文化・スポーツ省のページ

 この図書館のホームページを見て、まず気づくのは、デフォルト表示言語がガリシア語であること。スペインが多民族国家であることに改めて気付かされます。スペイン語には右上の言語切り替えボタン(Galego/Castellano)で切り替えることができます。 
 さて、館外や館内の様子がわかるバーチャルビューのページありますので、ご興味があれば、まずはどうぞ!

 この図書館でも、他の公共の中央図書館と同じように、様々な活動が行われています。これまでの図書館であまり見られなかったものとしては、哲学講座の開催があげられます。講師は、ドミンゴス・アントム・ガルシア・フェルナンデス(Domingos Antom Garcia Fernandes)という、ポンテべドラや、同県の港町であるヴィーゴ(Vigo)の大学で哲学講座を受け持ったことのある先生だそうです。期間は、2021年10月から2022年5月末まで。ロングランです。開催時間は、毎週水曜日の19時から20時45分まで。内容はマルクスニーチェから環境問題まで幅広く扱うようです。参加者は何人くらいで、講義中の様子はどんな感じなのでしょうか。興味が湧きます。いずれにしても、スペインでは夕食が21時からなので、夕食前のひと勉強といったところでしょうか。講義の後は、ガリシア地方の魚介類と白ワインで乾杯。スペインは議論好きの人が多そうなので、濃密な時間が過ごせそうです。
 哲学講座は少し重た目なので、他の企画を探してみました。2021年10月1日(金)の企画として、子どもたちを対象とした、紙芝居作成講座を見つけました。対象は、6歳から11歳の児童。開催時間は、18時から19時30分。先程も書きましたが、スペインでの夕食は21時からですので、その前のちょっとしたお楽しみといったところでしょうか。図書館内の本から着想を得て、自分で物語をつくり、絵やコラージュで紙芝居に仕立てていきます。紙芝居用の外枠も自分たちでつくり、最後は家に持ち帰ることができるとのことです。楽しそうですね。講座名は、「紙芝居工房(タジェール・デ・カミシバイ、Taller de Kamishibai)。スペインのガリシア地方の、こんなにも遠いところにある図書館で、「紙芝居」という日本語が使われていることを知り、うれしくなりました。
 最後は、ガリシア州内の市町村立図書館マップです。同じガリシア州オレンセの公共の中央図書館のときも紹介しましたが、図書館好きとして、今回も紹介させていただきます。

 なお、図書館の名称に付されている人名、アントニオ・オドリオソラ(Antonio Odriozola、1911-1987)は、書誌学者、研究者であり、1964年から、ポンテベドラに居を構え、1981年までの長い間、ガリシア州の図書館の司書を務めた人なのだそうです。
 以下、図書館のホームページです。ご興味があれば、どうぞ!

 最後まで読んでいただいて、有難うございました。

 他の【図書館】も見てみる!

f:id:kimamy:20211205092418p:plain

スポンサーリンク

 

 

ページトップへ

© 2021 きまま