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【スペイン図書館】テルエルにある公共の中央図書館

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 今日は、気ままにアラゴン州のテルエル県の県都、テルエル(Teruel)にある、公共の中央図書館(Biblioteca Pública del Estado en Teruel – Javier Sierra)にやってきました。

テルエルってどんな街?

 テルエル県は、アラゴン州の南部に位置する県です。県内の4分の3はイベリア山系に属し、山間部は冬に豪雪に見舞われることが多いそうです。産業としては、大理石、コムギ、ワイン、チーズ、羊毛などのほか、鉄鉱石、鉛などの鉱石も産します。県都であるテルエルは、地中海に面したオレンジで有名な街であるバレンシアの北西約110キロに位置します。街は城壁に囲まれていて狭い街路が入り組む旧市街と、その郊外の近代的な新市街からできています。旧市街にあるムデハル様式の聖堂群は、1986年に世界遺産文化遺産に登録されました。また、スペイン内戦(1936-1939)の激戦地としても有名です。

図書館の場所と歴史

 このような街にある図書館は、どんな図書館なのでしょうか。まずは、図書館の現在地です。以下の地図からどうぞ!

 この図書館の主な統計値を見てみます。

  • 【主な統計値(2019年)】
    建物内図書館利用エリア:2,002㎡
    入館者数:195,913人
    登録者数:22,101人
    所蔵資料総数:114,135件
    貸出総件数:48,746件
    (出典:スペイン文化・スポーツ省のページ

 この図書館の歴史は、19世紀の中頃に廃止された神学校の資料を保管することから始まります。1878年には、公共図書館となり、その後、1941年頃、神学校の図書室と公共図書館が分離し、公共図書館の方では、発禁された書物や、地域資料、その他、幅広いジャンルの資料を扱うことになったそうです。1953年には場所を移し、公文書館と博物館と同じ建物に入ります。1957年には、テルエルに文化会館が創立され、その中に図書館も入ることになりました。1999年、拡張工事と改装工事がなされ、2019年には、名称も現在のものになりました。建物はとても立派で、地下1階、地上3階建て。正面玄関の造りは、アラゴン地方のルネサンス期の宮殿を彷彿とさせます。

SDGsへの協力

 この図書館は、SDGsに積極的に協力しようとしています。2030年までに人類が達成すべきと定められた17の目標に向けて、図書館としてどのように貢献することができるか、という考え方のもと、情報アクセスの機会均等という観点から、すべての人たちにさらに開かれた図書館を目指しています。SDGsは、スペイン語では、“Objetivos de Desarrollo Sostenible (ODS)”というのですね。初めて知りました。

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図書館名称に付されているハビエル・シエラとは?

 図書館名称に付されている人名、ハビエル・シエラ・アルベルト(Javier Sierra Albert、1971−)は、テルエル出身の作家、ジャーナリストで、北米のベストセラーランキングのベスト10に入ったこともあるほど、人気があるそうです。その栄誉を称え、この図書館は、彼の蔵書コーナーをつくりました。彼の全著作、世界各国で翻訳された作品を、本だけに限らず、すべての媒体で1部ずつ所蔵しているそうです。地元紙のインタビューによれば、彼が初めて図書館カードを作ったのがこの図書館で、いつか自分の本が書棚に並ぶことが彼の夢だったとのことです。

充実した読み聞かせ動画

 この図書館は、You Tubeを利用して、子どもの利用者への読み聞かせ動画をたくさん公開しています。図書館に足を運ぶことなく、おうちで読み聞かせを楽しめるようにという企画です。いくつか見てみましたが、語り手が仮装したり、人形劇があったり、とても充実しています。ご興味があれば、以下のリンクから、どうぞ!

読み聞かせ動画のページ

 以下、図書館のホームページです。ご興味があれば、どうぞ!

図書館のホームページ

 https://www.bibliotecaspublicas.es/bpeteruel/

 最後まで読んで頂いて、有難うございました。

 他の【図書館】も見てみる!

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【スペイン図書館】タラゴナにある公共の中央図書館

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 今日は、気ままに、カタルーニャ州タラゴナ県の県都タラゴナ(Tarragona)にある、公共の中央図書館(Biblioteca Pública del Estado en Tarragona)にやってきました。

タラゴナってどんな街?

 タラゴナは、スペイン北東部に位置する、地中海に面した港湾都市バルセロナの西南西約90キロに位置します。古くは、ローマ帝国の属州であり、当時は、亜麻の布やワインの交易港として栄えました。8世紀はじめ、イスラム教徒の侵攻により衰退しましたが、12世紀にはアラゴン王国支配下となり再興します。県内の農業地帯では、ブドウ、ナッツ類、オリーブ、小麦の栽培が盛んです。タラゴナの市街地には、城壁、劇場、水道などローマ時代の遺跡が多く残り、2000年には世界遺産文化遺産に登録されました。海岸線には保養地が点在し、釣り場も多くあるそうです。バルセロナバレンシアサラゴサと鉄道や道路で結ばれて、観光にも便利です。

図書館の場所と歴史

 このような街にある図書館は、どんな図書館なのでしょうか。まずは、図書館の現在地です。以下の地図からどうぞ!

 この図書館の主な統計値を見てみます。

  • 【主な統計値(2019年)】
    建物内図書館利用エリア:1,707㎡
    入館者数:223,490人
    登録者数:81,910人
    所蔵資料総数:376,063件
    貸出総件数:205,054件
    (出典:スペイン文化・スポーツ省のページ

 この図書館のページで表示されるデフォルト言語は、カタルーニャ語。画面右上のボタンで、スペイン語に切り替えることができます。
 この図書館の歴史も他の公共の中央図書館と同じように、19世紀中頃、廃止された修道院などから譲り受けた資料を保管することをから始まりました。そのため、古い貴重な資料を所蔵しています。例えば、10世紀から18世紀の写本が318冊、インキュナブラ(15世紀中頃の活版印刷発明当初の印刷本)が230冊、17世紀にアラゴンに存在した図書館の本が401冊、その他、16世紀から19世紀に刊行された書籍を約35,000冊所蔵しています。この図書館が現在の場所に移ったのは、1962年。その後、何回かの改修を経て、1998年には、時代の要請に応えつつ、ネットサービスを開始し、今日に至っています。

利用者カード第一号

 おもしろいコーナーがありました。この図書館の利用者カード第一号の方の人生を紹介するコーナーです。これまでみてきた他の公共の中央図書館のホームページでは目にしなかった企画です。その方の人生が非常に詳しく書かれています。長いなあと思いつつも、最後まで興味深く読んでしまいました。
 この図書館の利用者カード第一号は、1951年3月28日に発行されました。フェリックス・テジェス・ソラ(Félix Téllez Solà)さんという方にだそうです。彼は、1934年、アストゥリアス県生まれの男性。利用者カードを作成したときは、17歳です。彼のお父さんは、タラゴナ駅の駅長さんでした。そのこともあり、フェリックスさんは、82歳でその生涯を閉じるまで、ずっとタラゴナに住み続けました。小さい頃から本を読むことが大好きで、街のアトリエ教室で絵も習っていたそうです。ダリのことが好きで、1973年、ダリがタラゴナを訪れた時には本人に会えたそうです。彼の職業は、ガラス職人。1960年に結婚。それを機に、奥さんのご家族の営むバル で働き始めます。そのバルはなんと、タラゴナで、初めてカウンター越しにテレビを導入したバルであったそうです。そのため、連日連夜、サッカー好きのお客さんたちで賑わったといいます。彼は好奇心旺盛で、地形測量をはじめいろいろなことに挑戦しました。また、釣りが大好きで、大会で優勝したり、協会の委員になったりしたこともありました。5人のお子さんと5人のお孫さんに恵まれ、生涯に渡って新しい知識を求め、豊かな人生を送られたそうです。その傍らには、いつも、街の図書館がありました。ご興味があれば、以下のリンクから、どうぞ!

利用者カード第一号紹介ページ

カタルーニャ州作家の「推し」企画

 この図書館は、カタルーニャ州で活躍する作家を、「推し」として応援するプロジェクトに参加しています。このプロジェクトでは、州内のそれぞれの図書館が地元作家の期待の星を「推し」ます。タラゴナの公共の中央図書館が「推し」たのは、オルガ・キシリナックス(Olga Xirinacs、1936−)というタラゴナ出身の女性の作家。とても多彩な方で、ピアノの教師でもあり、詩人でもあり、バルセロナの大学で文学の授業も教えているそうです。彼女の作品は、スペイン語、ロシア語、英語、ドイツ語、フランス語、バスク語に訳されているとのことです。ご興味があれば、以下のリンクから、どうぞ!

カタルーニャ州作家の「推し」企画

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おもしろそうな企画

 この図書館も、他の図書館と同じように、おもしろそうな企画を開催しています。中でも興味をもったのは、海洋博物館との共催で行われる「夜の読書会」と、子どもの利用者向けの「1クリック学習サイト」です。「夜の読書会」は、初夏の一夜に、タラゴナ港の遊歩道で、タラゴナの海や、海沿いの街にちなんだ作品を朗読する会です。BGMも「海」つながりの曲を流すとか。もう一つの「1クリック学習サイト」は、1クリックで県内や州内の教育施設や博物館のホームページにアクセスでき、タラゴナの自然や歴史や音楽について知識や理解を深めることのできるページです。ご興味があれば、以下のリンクから、どうぞ!

夜の読書会のページ

1クリック学習サイト

図書館のブログ

 図書館のブログもとても充実しています。話題も豊富。タラゴナのカーニバルの歴史、演劇の歴史、ラジオ放送の歴史など、更新頻度も高いです。ご興味があれば、以下リンクから、どうぞ!

図書館のブログページ

スペイン国内公共図書館大学図書館へのリンク集

 この図書館のホームページの一番下に、探している本が、国内のどの公共図書館にあるか、また、どの大学図書館にあるか、を調べられるとても便利なページへのリンクがありました。公共図書館の所蔵を調べるページ(※検索画面に行くにはまず”Conectar”ボタンを押してください)では、検索結果が表示されたら本のタイトルをクリックし、次に表示される詳細画面で、「所蔵されている場所を見る」(VER LOCALIZACIONES)のタブをクリックすると、その本がある国内の公共図書館のリストが表示されます。大学図書館の所蔵を調べるページも同じ要領で、その本がどの大学図書館にあるか調べることができます。ご興味があれば、以下のリンクから、どうぞ!

公共図書館へのリンク集

国内大学図書館へのリンク集

図書館のホームページ

Inici. Biblioteca Pública de Tarragona

 最後まで読んで頂いて、有難うございました。

 他の【図書館】も見てみる!

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【スペイン図書館】トレドにある公共の中央図書館

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 今日は、気ままに、カスティーリャ・ラ・マンチャ州のトレド県の県都トレド(Toledo)にある、公共の中央図書館(Biblioteca de Castilla-La Mancha / Biblioteca Pública del Estado en Toledo)にやってきました。

トレドってどんな街?

 トレドはとても古い街。細く入り組んだ石畳の街路を歩いていると、中世に迷い込んだような錯覚に陥ります。その歴史は先史時代まで遡るとも言われ、前2世紀にはローマ帝国の重要な植民地となります。その後、西ゴート王国では政治の中心となり、続くイスラム教勢力下においても、キリスト教勢力に対抗する城塞都市として重要な役割を果たします。1085年、カスティーリャ王のアルフォンソ6世(Alfonso VI、1042頃−1109)が支配してからは、カスティーリャ王国の政治・文化の中心として発展しました。しかし、1560年、フェリペ2世(Felipe II、1527−1598)がマドリッドに宮廷を移したことにより、地方都市になっていくことになります。様々な文化の交差点であったトレドは、スペイン文化の特質を最もよく備えた都市と言われます。画家のエル・グレコ(El Greco、1541-1614)が住んだ街としても有名です。ローマ文化、イスラム教文化、キリスト教文化、さまざまな文化の歴史的建造物が残るトレドは、1986年、世界遺産文化遺産に登録されました。マドリッドから南南西に約70キロ、鉄道やバスで1時間程度なので、日帰り旅行にも最適です。

図書館の場所と歴史

 このような街にある図書館は、どんな図書館なのでしょうか。まずは、図書館の現在地です。以下の地図からどうぞ!

 この図書館の主な統計値を見てみます。

  • 【主な統計値(2019年)】
    建物内図書館利用エリア:4,583㎡
    入館者数:289,557人
    登録者数:44,309人
    所蔵資料総数:465,319件
    貸出総件数:151,761件
    (出典:スペイン文化・スポーツ省のページ

 この図書館の歴史は、1770年代まで遡ることができます。大司教の図書館を市民に開放したのが始まりなのだそうです。19世紀、修道院など、教会関連施設が廃止されていくなかで、県立図書館ができていきます。20世紀になると、図書館はすべての市民に対して開かれるようになりました。1966年には、県の文化活動の中心を担うべく文化会館が創立され、図書館もその施設の建物の中に入りました。それを機に、図書館の利用は増え続け、スペース不足が問題になり始めます。より広いスペースを求め、1998年、アルカサル(Alcázar)の最上階に場所を移すことになりました。アルカサルは、トレドのシンボルの1つとも言える建造物。古い城塞で、ローマ時代に建てられ、その後、西ゴート族、アラブ人、キリスト教徒により改修され、18世紀から20世紀にかけては、スペイン王位継承戦争(1701-1714)、ナポレオンの侵略に抵抗したスペイン独立戦争(1808-1814)、スペイン市民戦争(1936.7-1939.4)と数々の戦禍をくぐり抜けてきました。トレドの丘の頂上に建つその姿は、威風堂々とした佇まいを宿しています。そんなアルカサルの最上階にある図書館は、県民の文化活動の拠点として発展し続けています。

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「興味のあるもの」特集

 この図書館は、利用者が興味を持ちそうなテーマに関する所蔵資料の紹介コーナーをつくっています。例えば、恐竜の本の特集、庭にある植物の本の特集、探偵本の特集などなど。子どもが興味を持ちそうなテーマを中心として、他にもいろいろな特集が組まれています。このコーナーの名前は“Centros de interés”(セントロス・デ・インテレス)と言います。「興味の中心」、「関心の的」というような意味でしょうか。ネットで調べてみたところ、この言葉は、ドクロリー(Ovide Decroly、1871−1932)というベルギーの教育・心理学者が創案し、実践した児童教育法を支える基本的な考え方を表す言葉なのだそうです。児童の興味を重視しながら、世界に対する理解と、生活への参加を促すという考え方なのだそうです。話は少し外れましたが、特集の中には、大人用のアニメーション特集や、漫画家の谷口ジロー(1947-2017)さんの特集がありました。大人用のアニメーション特集には、日本のアニメーションが1つも入っていなかったのが残念でした。谷口ジローさんは、スペインをはじめ、ドイツ、イタリア、フランスなどで数々の賞を受賞していることを初めて知りました。スペインでは、2002年に、『父の暦』という作品で、第20回 バルセロナ国際コミック展 読者が選ぶ最優秀漫画賞と、第26回 アストゥリアス公領漫画国際展 Haxtur長編漫画大賞を受賞されたそうです。代表作には、『「坊っちゃん」の時代』、『孤独のグルメ』などがあるそうです。読んだことがないので、これを機会に読んでみたいと思います。ご興味があれば、以下のリンクから、どうぞ!

「興味のあるもの」特集のページ

充実したバーチャル展示

 バーチャル展示もとても充実しています。展示のテーマには次のようなものがあります。

 スペイン語の解説を読むのは大変ですが、画像がたくさん載っているので、いろいろクリックして、見ているだけでも楽しめます。ご興味があれば、以下のリンクから、どうぞ!

バーチャル展示のページ

作文コンテストの開催

 コロナウイルスの蔓延を機として、いつもの何気ない日常生活に人々の目が向けられました。この図書館では、今回のコロナウイルスの蔓延と、昨今注目されているSDGsを関連付け、作文コンテストを開催しました。具体的には、今回のコロナウイルスの蔓延が、SDGsのなかの、貧困の撲滅、健康と福祉、質の高い教育、ジェンダーフリーという観点から、いかに私たちの生活に影響を与えたかについての作文コンテストです。地元の書店の協賛もあり、このイベントを地域全体で盛り上げようとするようすが伝わってきます。

トレドの図書館での日本の推薦図書

 推薦図書を紹介するページがあったので、どんな本が紹介されているのか、見てみました。図書館スタッフによる推薦図書ページと、利用者による推薦図書ページが分かれていて、それぞれのページに60冊程の図書が紹介されています。日本の本はあるかな、と探してみると、図書館スタッフによる推薦図書ページには、小泉八雲(1850−1904)の『のっぺらぼうと怪談話』(El fantasma sin rostro y otras historias de terror)、利用者による推薦図書ページには、夏目漱石(1867−1916)の『吾輩は猫である』(Soy un gato)、村上春樹(1949−)の『ノルウェイの森』(Tokio bluesTokio bluesと訳されていました)や『1Q84』が紹介されていました。ご興味あれば、以下のリンクからどうぞ!

推薦図書のページ

図書館のホームページ

https://biblioclm.castillalamancha.es/

 最後まで読んで頂いて、有難うございました。

 他の【図書館】も見てみる!

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