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【スペイン図書館】トレドにある公共の中央図書館

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 今日は、気ままに、カスティーリャ・ラ・マンチャ州のトレド県の県都トレド(Toledo)にある、公共の中央図書館(Biblioteca de Castilla-La Mancha / Biblioteca Pública del Estado en Toledo)にやってきました。

トレドってどんな街?

 トレドはとても古い街。細く入り組んだ石畳の街路を歩いていると、中世に迷い込んだような錯覚に陥ります。その歴史は先史時代まで遡るとも言われ、前2世紀にはローマ帝国の重要な植民地となります。その後、西ゴート王国では政治の中心となり、続くイスラム教勢力下においても、キリスト教勢力に対抗する城塞都市として重要な役割を果たします。1085年、カスティーリャ王のアルフォンソ6世(Alfonso VI、1042頃−1109)が支配してからは、カスティーリャ王国の政治・文化の中心として発展しました。しかし、1560年、フェリペ2世(Felipe II、1527−1598)がマドリッドに宮廷を移したことにより、地方都市になっていくことになります。様々な文化の交差点であったトレドは、スペイン文化の特質を最もよく備えた都市と言われます。画家のエル・グレコ(El Greco、1541-1614)が住んだ街としても有名です。ローマ文化、イスラム教文化、キリスト教文化、さまざまな文化の歴史的建造物が残るトレドは、1986年、世界遺産文化遺産に登録されました。マドリッドから南南西に約70キロ、鉄道やバスで1時間程度なので、日帰り旅行にも最適です。

図書館の場所と歴史

 このような街にある図書館は、どんな図書館なのでしょうか。まずは、図書館の現在地です。以下の地図からどうぞ!

 この図書館の主な統計値を見てみます。

  • 【主な統計値(2019年)】
    建物内図書館利用エリア:4,583㎡
    入館者数:289,557人
    登録者数:44,309人
    所蔵資料総数:465,319件
    貸出総件数:151,761件
    (出典:スペイン文化・スポーツ省のページ

 この図書館の歴史は、1770年代まで遡ることができます。大司教の図書館を市民に開放したのが始まりなのだそうです。19世紀、修道院など、教会関連施設が廃止されていくなかで、県立図書館ができていきます。20世紀になると、図書館はすべての市民に対して開かれるようになりました。1966年には、県の文化活動の中心を担うべく文化会館が創立され、図書館もその施設の建物の中に入りました。それを機に、図書館の利用は増え続け、スペース不足が問題になり始めます。より広いスペースを求め、1998年、アルカサル(Alcázar)の最上階に場所を移すことになりました。アルカサルは、トレドのシンボルの1つとも言える建造物。古い城塞で、ローマ時代に建てられ、その後、西ゴート族、アラブ人、キリスト教徒により改修され、18世紀から20世紀にかけては、スペイン王位継承戦争(1701-1714)、ナポレオンの侵略に抵抗したスペイン独立戦争(1808-1814)、スペイン市民戦争(1936.7-1939.4)と数々の戦禍をくぐり抜けてきました。トレドの丘の頂上に建つその姿は、威風堂々とした佇まいを宿しています。そんなアルカサルの最上階にある図書館は、県民の文化活動の拠点として発展し続けています。

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「興味のあるもの」特集

 この図書館は、利用者が興味を持ちそうなテーマに関する所蔵資料の紹介コーナーをつくっています。例えば、恐竜の本の特集、庭にある植物の本の特集、探偵本の特集などなど。子どもが興味を持ちそうなテーマを中心として、他にもいろいろな特集が組まれています。このコーナーの名前は“Centros de interés”(セントロス・デ・インテレス)と言います。「興味の中心」、「関心の的」というような意味でしょうか。ネットで調べてみたところ、この言葉は、ドクロリー(Ovide Decroly、1871−1932)というベルギーの教育・心理学者が創案し、実践した児童教育法を支える基本的な考え方を表す言葉なのだそうです。児童の興味を重視しながら、世界に対する理解と、生活への参加を促すという考え方なのだそうです。話は少し外れましたが、特集の中には、大人用のアニメーション特集や、漫画家の谷口ジロー(1947-2017)さんの特集がありました。大人用のアニメーション特集には、日本のアニメーションが1つも入っていなかったのが残念でした。谷口ジローさんは、スペインをはじめ、ドイツ、イタリア、フランスなどで数々の賞を受賞していることを初めて知りました。スペインでは、2002年に、『父の暦』という作品で、第20回 バルセロナ国際コミック展 読者が選ぶ最優秀漫画賞と、第26回 アストゥリアス公領漫画国際展 Haxtur長編漫画大賞を受賞されたそうです。代表作には、『「坊っちゃん」の時代』、『孤独のグルメ』などがあるそうです。読んだことがないので、これを機会に読んでみたいと思います。ご興味があれば、以下のリンクから、どうぞ!

「興味のあるもの」特集のページ

充実したバーチャル展示

 バーチャル展示もとても充実しています。展示のテーマには次のようなものがあります。

 スペイン語の解説を読むのは大変ですが、画像がたくさん載っているので、いろいろクリックして、見ているだけでも楽しめます。ご興味があれば、以下のリンクから、どうぞ!

バーチャル展示のページ

作文コンテストの開催

 コロナウイルスの蔓延を機として、いつもの何気ない日常生活に人々の目が向けられました。この図書館では、今回のコロナウイルスの蔓延と、昨今注目されているSDGsを関連付け、作文コンテストを開催しました。具体的には、今回のコロナウイルスの蔓延が、SDGsのなかの、貧困の撲滅、健康と福祉、質の高い教育、ジェンダーフリーという観点から、いかに私たちの生活に影響を与えたかについての作文コンテストです。地元の書店の協賛もあり、このイベントを地域全体で盛り上げようとするようすが伝わってきます。

トレドの図書館での日本の推薦図書

 推薦図書を紹介するページがあったので、どんな本が紹介されているのか、見てみました。図書館スタッフによる推薦図書ページと、利用者による推薦図書ページが分かれていて、それぞれのページに60冊程の図書が紹介されています。日本の本はあるかな、と探してみると、図書館スタッフによる推薦図書ページには、小泉八雲(1850−1904)の『のっぺらぼうと怪談話』(El fantasma sin rostro y otras historias de terror)、利用者による推薦図書ページには、夏目漱石(1867−1916)の『吾輩は猫である』(Soy un gato)、村上春樹(1949−)の『ノルウェイの森』(Tokio bluesTokio bluesと訳されていました)や『1Q84』が紹介されていました。ご興味あれば、以下のリンクからどうぞ!

推薦図書のページ

図書館のホームページ

https://biblioclm.castillalamancha.es/

 最後まで読んで頂いて、有難うございました。

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