今日は、エストレマドゥーラ州のトルヒーリョ(Trujillo)という小さな街にやってきました。真ん中のマドリッドから見ますと、南西(左斜め下)の方角です。マドリッドからですと、バスで約3時間、西側に位置するカセレス(Cáceres)からは約30分、東側に位置するグアダルーペ(Guadalupe)からは約2時間です。鉄道はありません。
エストレマドゥーラといえば、16世紀に、南米は新大陸への冒険家を多く排出した地方として有名です。エストレマドゥーラとは、もともと「ドゥエロ川のかなた」という意味だそうで、イベリア半島を北へ北へと深く侵入するイスラム教勢力を、キリスト教勢力がドゥエロ川のかなたへと押し返すことが夢であったことに由来するとか。レコンキスタ(イスラム教勢力からの国土回復運動)で一番勇敢に戦ったといわれるのが、エストレマドゥーラ人。その勢いあまって、新大陸へ乗り出したという説も。また、大地が不毛でありすぎたゆえという説も。
わたしは、トルヒーリョの東に位置する、グアダルーペという街から、朝、バスでトルヒーリョへ向かいました。季節は、2月、冷たく乾いた中にも春を感じることができる頃、バスの車窓には、オリーブしか育たないと評される荒涼とした大地に、雲海が広がっていました。標高が高かったのでしょうか、息を飲むほどの美しさでした。街の古城からの眺めも忘れられません。BGMは、コウノトリがくちばしをたたき合わせるカタカタという音。かつては新大陸からの富で栄えたこの街、「兵(つわもの)どもが夢のあと」と少ししんみりした気持ちになってしまいました。
エストレマドゥーラの荒涼とした風景を前に、過去の栄華に思いを馳せてみるのも一興ではないでしょうか。
最後まで読んでいただいて、有難うございました。
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