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【スペイン図書館】マラガにある公共の中央図書館

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 今日は、気ままに、アンダルシア州のマラガ県の県都マラガ(Málaga)にある、公共の中央図書館(Biblioteca Pública del Estado en Málaga)にやってきました。マラガ県は、アンダルシア州の南部に位置する県。南には、コスタ・デル・ソル(Costa del Sol、太陽の海岸)、北には、アンダルシアの平原が広がります。主要産業は農業で、野菜、オリーブ、ブドウを産します。特産は、マラガ・ワイン。その他、鉄、鉛などの鉱物資源も豊富とのこと。県都、マラガは、地中海に面する港湾都市、その歴史は古く、ローマ時代以前、フェニキア人により建設されたとか。コスタ・デル・ソルの中心地で、保養地、避寒地として、ヨーロッパ各国から多くの観光客が訪れます。また、ピカソの生誕地としても知られています。

 さて、このような街にある図書館はどんな図書館なのでしょうか。主な統計値を書きます。

  • 【主な統計値(2019年)】
    建物内図書館利用エリア:2,249㎡
    入館者数:152,367人
    登録者数:22,628人
    所蔵資料総数:191,914件
    貸出総件数:46,431件
    (出典:スペイン文化・スポーツ省のページ

 この図書館の歴史は、1835年に始まります。他の公共の中央図書館と同じように、初めは修道院から譲り受けた資料を保管していました。当時は、中等教育機関の一環として運用されていたようです。20世紀初頭には、マラガ県出身の、ジャーナリスト、詩人で、スペイン語詩の刷新運動であるモデルニスモの先駆者の1人、サルバドール・ルエダ・サントス(Salvador Rueda Santos、1857-1933)が図書館長を務めたこともありました。1933年には場所を移し、図書館名称も、Biblioteca Popular Ricardo de Orueta、その後、Biblioteca Pública Cervantesと変わりました。リカルド・デ・オルエタ(Ricardo de Orueta、1868-1939)は、マラガ出身の啓蒙家で、当時、国家機関である美術総局の長官を務めた人物なのだそうです。1956年には、文化会館が創立され、その中に、県立文書館と一緒に図書館が入ったようです。当時の蔵書は8,000冊だったそうです。1984年には、名義が「国立」、管理は「州」という現管理体制になりました。そして、1994年、一時的に、建物を引っ越さざるを得ない事態に陥りました。というのも、なんと、1951年に発見されたローマ時代の遺跡である「ローマ劇場(Teatro Romano)」の建築物の一部が、建物の地下にまで入り込んでいることが調査の結果わかったからです。1990年代、議論が重ねられ、結局、「ローマ劇場(Teatro Romano)」の発掘と修復が優先され、文化会館の取り壊しが決定されました。一時的に移った先の建物の設備を整え、今日に至っているようです。建物は、地下1階と地上3階建てです。
 図書館のホームページでは、映画のDVDが多く紹介されていました。推薦リストの中には、日本の映画もありました。

  • Battle Royale / un film de Kinji Fukasaku (2001)
    (「バトル・ロワイヤル」、家庭でみる映画リスト内)
  • Después de la tormenta / dirección y guión de Kore-Eda Hirokazu (2016)
    (「海よりもまだ深く」(直訳は「嵐のあと」です。)、2018春のリスト内)
  • Nagasaki : recuerdos de mi hijo / dirigida por Yoji Yamada (2015)
    (「母と暮せば」(直訳は「長崎:息子の思い出」です。)、2018夏のリスト内)
  • Violent cop / una película de Takeshi Kitano (1989)
    (「その男、凶暴につき」、2019冬のリスト内)

 この図書館では、アンダルシア州のなかでも、図書館ツアーがとても充実しているようです。児童用、中高生用、一般用の3つのツアーが用意されています。

  • Léeme un cuento(おはなししてよ!)
    児童用のツアー。子ども用の読書コーナーの小スペースで、腹話術人形のLeo(レオ)くんが、図書館の使い方について、楽しく話してくれます。利用者カード申請書を各参加者宛てにあらかじめ郵送しておいて、ツアーの終わりにカードを受け取れるお楽しみサービスも。ツアー時間:1時間半。定員:10〜28人。
  • La magia de la biblioteca(図書館の魔法)
    中高生用のツアー。司書の方の引率で、図書館を回ります。資料の種類、保存の仕方、貸出し・閲覧サイクルの説明、カードの作り方、インターネット設備などについて、充実した解説付きです。子ども用閲覧室では、配架体験もあるとか。ツアー時間:1時間半。定員:10〜28人。
  • Si lo leo, lo veo(読めばわかるよ)
    一般用のツアー。中高生用ツアーの応用編のような感じです。書庫や活動ホールの案内。アンダルシア州のネット総合カタログの応用検索方法についての解説。ツアーの終わりには、サプライズ発表があるとか。ツアー時間:1時間。定員:10〜25人。

 以下、図書館と、図書館ツアーの紹介ページです。図書館ツアーの紹介ページの下のほうに掲載されている画像をクリックすると、児童用のツアー、「Léeme un cuento(おはなししてよ!)」の様子を動画で見ることができます。ご興味があれば、どうぞ!

 最後まで読んでいただいて、有難うございました。

 他の【図書館】も見てみる!

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【スペイン図書館】マオンにある公共の中央図書館

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 今日は、気ままに、バレアレス諸島のメノルカ島の街、マオン(Mahón)にある、公共の中央図書館(Biblioteca Pública del Estado en Mahón)にやってきました。バレアレス諸島は、マヨルカ島、メノルカ島、イサビ島の3つの島からあります。メノルカ島は、マヨルカ島の東隣にあり、諸島内ではマヨルカ島に次ぐ2番目に大きな島です。マオンは、そのメノルカ島の東の端にあります。とても美しい港町です。メノルカ島は、18世紀の間中イギリス領であったため、現在も当時のジョージ王朝風の白い石の家が立ち並んでいます。農業、牧畜の他、靴の製造、人口宝石や真珠の製造も行っています。ジンの蒸留やチーズの生産も盛んだとか。また、「マオンのソース」が、「マヨネーズ」の語源の1つであることでも有名です。

 さて、このような街にある図書館はどんな図書館なのでしょうか。主な統計値を書きます。

  • 【主な統計値(2019年)】
    建物内図書館利用エリア:1,000㎡
    入館者数:98,219人
    登録者数:26,811人
    所蔵資料総数:118,382件
    貸出総件数:51,671件
    (出典:スペイン文化・スポーツ省のページ

 図書館のホームページを見てまず気づくことは、デフォルトの表示言語がカタルーニャ語であること。カタルーニャのほか、バレンシアガリシアバスクなど、スペインが多民族国家であることに、改めて気づかされます。トップページにスペイン語への切り替えボタンがありません。民族意識の強さの表れなのでしょうか。グーグルの翻訳機能でスペイン語に切り替えました。
 この図書館の創立は1861年。とはいえ、図書館に残っている1778年の公文書を紐解くと、すでにその頃、公共図書館をつくろうとする動きがあったことについての記録が残っているとか。当時のマオン市民の意識の高さが見て取れます。市民へ開放されたのは、1866年。時を経て、1948年、現在の図書館の場所に移りました。1950年代からは、文化会館の一部としての運用が始まり、60年代にかけて、多くの試みがなされたそうです。1983年に、名義は「国立」、管理は「州」という現管理体制となり、1985年からは島内すべての図書館を統べる役割を担うようになりました。
 この図書館で注目されるのは、建物。1761年、島内で最も古い地区に、名門メルカダル家のために建てられたのだそうです。当時の敷地は、街の1ブロック全部を占めていたほど。建物は白い砂岩でできた4階建てで、構造は至ってシンプル。大きな箱に三角屋根が付いているような感じで、「シンメトリー」そのものといった感じです。建築様式としては、「新古典主義」なのだそうです。内部の構造も中央階段を軸とした「シンメトリー」。潔いほどのシンプルさです。先に書いたように、1950年代から図書館を含む文化会館として使用されてきました。1970年半ばより老朽化が目立ちはじめ、改修が繰り返されることになります。1987年に大改修がなされ、近代的な設備を備えた今日の姿に生まれ変わりました。その後も小さな改修が続きますが、スペース不足が目下の課題ということ。実際、資料の保存のため、市内に倉庫を借りているということです。
 コレクションについても少し見てみます。郷土資料の中で一番古いのは1632年のもので、イエズス会修道院から譲り受けたものだそうです。その他、特出するものとして、イギリスの医者、詩人であるジョン・アームストロング(John Armstrong、1709-1779) のメノルカ島についての歴史書の初版(1752)を所蔵しているとのことです。また、島内で印刷が始まった1756年当初の初版も多くあるそうです。島内刊行物も豊富で、1811年発行のSemanario de la Isla de Menorcaがあります。この刊行物は現在も刊行され続けいているそうです。貴重書としては、イエズス会カルメル会などの修道院から譲り受けた資料が15,900件、分野は、哲学、神学、医学、文学、歴史など、多岐に渡るそうです。また、古い写本やインキュナブラ(15世紀中頃の活版印刷発明当初の印刷本)も所蔵しているとのことです。
 以下、図書館のホームページです。ご興味があれば、どうぞ!

 最後まで読んでいただいて、有難うございました。

 他の【図書館】も見てみる!

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【スペイン図書館】マドリッドにある公共の中央図書館

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 今日は、気ままに、マドリッド州のマドリッド県の県都マドリッド(Madrid)にある、公共の中央図書館(Biblioteca Pública del Estado en Madrid – Manuel Alvar)にやってきました。マドリッドといえば、スペインの首都ですが、自治州でもあり、県でもあります。けれども、自治州のなかに県が1つしかない一県一州の自治州です。位置は、イベリア半島のど真ん中。標高は意外に高く約650メートルです。王宮、プラド美術館レアル・マドリッドのホームグラウンドなど、見どころはいっぱいです。図書館でいえば、スペイン国立図書館(Biblioteca Nacional de España)があります。今回紹介するのは、州が管理する中央図書館です。日本で言えば、国立国会図書館と東京都立図書館の関係のようなイメージでしょうか。

 さて、いつものように図書館のホームページをみたところ、なんとこの図書館、2019年4月22日から改修のため無期限休館中ということです。初めてのケースです。参考までに、前年2018年の主な統計値を書いておきます。

  • 【主な統計値(2018年)】
    建物内図書館利用エリア:5,593㎡
    入館者数:573,233人
    登録者数:43,805人
    所蔵資料総数:563,080件
    貸出総件数:187,507件
    (出典:スペイン文化・スポーツ省のページ

 ホームページによれば、マドリッド市街の中心には、今回紹介しようとしていた図書館と同じように、州が管理する図書館が他に14館あり、それらの図書館は現在も開館しているとのことです。これらの図書館の多くには、スペインを代表する知識人の名前が付されています。例えば、『スペイン語語法辞典』(Diccionario de uso del español)をつくったマリア・モリネール(María Moliner、1900-1981)、「1927年の世代」の詩人、ペドロ・サリーナス(Pedro Salinas、1891-1951)、同じく同世代の詩人、ラファエル・アルベルティ(Rafael Alberti、1902-1999)などです。今回紹介予定であった図書館の名称に付されている、マヌエル・アルバル(Manuel Alvar、1923-2001)は、スペインの言語学者なのだそうです。彼の死後、2003年に、図書館に対して個人的な寄付があったため、感謝の意を表し、彼の名前が付されたようです。
 無期限休館中の今回の図書館のトップページには、他の14館を利用するための利用者カードのつくり方の案内が書いてありました。読んでみると、おもしろかったので、気になったことを書いてみます。
 日本の図書館との違いでおもしろいと思ったのは、18歳以下の青少年が利用者カードを作る場合は、親族など、法的後見人の保証が必要とのことです。日本よりも、図書館での青少年によるトラブルが多いからでしょうか。
 また、“Bibliometro(ビブリオ・メトロ)”という、地下鉄駅に設置した小さな図書館ブースでの貸出しサービスがあり、そのためのカードの発行の案内も載っていました。このサービスは、12の地下鉄駅に小さな図書館ブースを作って、地下鉄の利用者に、駅で図書館の本を貸し出すサービスです。それぞれのブースに約1,700タイトルの本が常備されているそうです。日本でも、駅ビルに図書館が入っているケースは知っていますが、地下鉄の駅に図書館専用の貸出しブースが設置されているケースについては聞いたことがありません。日本にこのようなサービスはあるのでしょうか。
 また、70歳以上または身体の不自由な利用者のために、“Telebiblioteca(テレビブリオテカ)"という、図書館資料宅配サービスの案内も載っていました。マドリッドのみなさんの本好きと、それを支える公的サービスの層の厚さが伝わってくる感じがしました。
 これら州の管理する15の図書館の他に、同じホームページ内に、ホアキン・レギナ地域図書館(Biblioteca Regional Joaquín Leguina)という大きな図書館へのリンクがあったので、紹介します。この図書館は、レンガ造りの立派な建物で有名なようです。というのもの、この建物、スペインのビールメーカーであるアギラ(Águila)の旧製造工場を再利用しているからです。アギラは、1984年に、オランダのビール会社であるハイネケンの傘下に入り、マドリッドの工場を閉鎖しました。2002年から、その建物を再利用した形です。なお、図書館の名称に付されているホアキン・レギナ(Joaquín Leguina、1941-)は、スペイン社会労働党(PESOE)の政治家で、マドリッド自治州の初代州長とのことです。
 以下、図書館、“Bibliometro(ビブリオ・メトロ)”、ホアキン・レギーナ地域図書館の紹介ページです。ご興味があれば、どうぞ!

 最後まで読んでいただいて、有難うございました。

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