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【スペイン図書館】サンタ・クルス・デ・テネリフェにある公共の中央図書館

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 今日は、気ままに、カナリア諸島内、サンタ・クルス・デ・テネリフェ県県都サンタ・クルス・デ・テネリフェ(Santa Cruz de Tenerife)にある、公共の中央図書館(Biblioteca Pública del Estado en Santa Cruz de Tenerife)にやってきました。カナリア諸島は、北アフリカ大陸北西の大西洋上に位置し、7つの島から成ります。15世紀末に、スペイン領になったそうです。行政面では、諸島全体が1つの自治州になっていて、その中に、東側のラス・パルマス県と、西側のサンタ・クルス・デ・テネリフェ県があります。今回紹介する図書館のあるサンタ・クルス・デ・テネリフェ県県都サンタ・クルス・デ・テネリフェは、農業が盛んで、バナナやトマトの産地であるとか。観光業も盛んなのだそうです。この街は、テネリフェ島にありますが、2021年9月19日、この島の北西約100キロに位置する、同県のラ・パルマ島の火山が噴火し始め、10月5日現在も噴火が収まらず、火砕流による被害が広がっているとのことです。1日も早く、噴火が収まり、元の生活が戻りますように。

 さて、このような街にある図書館はどんな図書館なのでしょうか。主な統計値を書きます。

  • 【主な統計値(2019年)】
    建物内図書館利用エリア:1,541㎡
    入館者数:145,224人
    登録者数:32,814人
    所蔵資料総数:175,178件
    貸出総件数:106,689件
    (出典:スペイン文化・スポーツ省のページ

 まずは、You Tubeによる図書館の紹介動画がとてもよいので、ご興味があれば、以下リンク先ページの一番下にある動画の再生ボタンからどうぞ!www.bibliotecadecanarias.org

 この図書館の歴史は、比較的新しく、1977年に一般利用が開始され、1983年に州の管理になったようです。もとは文化会館であったとか。一般利用開始からこれまで、40年以上に渡り、市民へのサービスに尽くしてきましたが、今後の課題は、カナリア諸島内の市町村立図書館をネットワークで結び、その拠点になることなのだそうです。現在の建物には、図書館だけでなく、納本の受入れや知的所有権の登録を扱うオフィス、劇場、現代芸術ギャラリー、フィルムライブラリーなどが入っていて、まさに、カナリア諸島の文化活動の拠点の1つになっています。
 図書館のホームページを見ていて、興味を持ったことは、この図書館では、情報リテラシーに関する講座が多数開催されていることです。特に、ICT(information and communications technology)に関する講座をが多く開催されています。なお、スペイン語では、“ICT”のことを“TIC”(Tecnologías de la Información y la Comunicación)というそうです。開催されている講座の具体的な内容は、主に、クラウド環境の活用方法について。例えば、gmailGoogle Driveの使い方や、クラウド上での写真保存の仕方とそのセキュリティーについての講座などです。その他、言語を学ぶためのおすすめアプリケーションソフトの紹介、ネットでのお仕事探し、ブログサイトの開設方法、青少年がSNSを使う上での注意点、履歴書の効果的な書き方などについての講座があるようです。
 他に気になったのは、この街出身のドミンゴ・ペレス・ミニク(Domingo Pérez Minik、1903–1989)コレクションです。彼は、カナリア諸島が誇る知識人であると同時に、20世紀のスペインを代表する文芸批評家であるそうです。ガセータ・デ・アルテ(Gaceta de Arte)という、美術関連の雑誌の創刊に携わり、美術、演劇、文学の分野の数々の賞を受賞したそうです。寄贈は、彼のご遺族からのもの。専門分野の論文5,600冊、書簡1,183通、雑誌167タイトル、写真300枚、 その他、ファイリングされていない書類多数と、とても充実したコレクションなのだそうです。
 他にも、この図書館では、同じカナリア諸島のお隣りの県の県都ラス・パルマス・デ・グラン・カナリアにある公共の中央図書館と同じく、チャットやLINEを利用した、バーチャル読書会も行っていて、活気のある様子が、ホームページから伝わって来ました。
 以下、図書館のホームページです。ご興味があれば、どうぞ!

 最後まで読んでいただいて、有難うございました。

 他の【図書館】も見てみる!

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【スペイン図書館】オビエドにある公共の中央図書館

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 今日は、気ままに、アストゥリアス州アストゥリアス県県都オビエド(Oviedo)にある、公共の中央図書館(Biblioteca de Asturias / Biblioteca Pública del Estado en Oviedo - Ramón Pérez de Ayala)にやってきました。オビエドは、中世にイベリア半島イスラム教の勢力が侵入した際、最後まで、征服されずに残った数少ない都市の1つです。いわば、スペインの最後の砦。その意味では、スペインの中のスペインと言っても過言ではないかもしれません。豊かな自然に恵まれたアストゥリアス地方にあって、落ち着いていて、趣深い街です。シードル(Sidra、リンゴ酒)が名産で、とても美味しいです。わたしの大好きな街の1つです。

 さて、このような街にある図書館はどんな図書館なのでしょうか。主な統計値を書きます

  • 【主な統計値(2019年)】
    建物内図書館利用エリア:4,281㎡
    入館者数:467,453人
    登録者数:68,049人
    所蔵資料総数:523,431件
    貸出総件数:113,101件
    (出典:スペイン文化・スポーツ省のページ

 この図書館の歴史は、1942年に、女性会館に設置されたところから始まります。その頃の蔵書は1,727冊と少なかったことに加え、街中から離れていたため、オビエドの中心地に公共図書館がない状態が続きました。
 1944年から、公共図書館をつくる動きが本格化し、1947年、最初の公共図書館が誕生することになります。その図書館は、フライ・ヘロニモ・フェイホー図書館と言いました。フェイホー(Jerónimo Feijoo、1676-1764)は、百科全書的な啓発書を書いた、ベネディクト派の修道士なのだそうです。図書館は、彼が住んでいた修道院の隣りにあったそうです。この時の蔵書は5,000冊 、読書机は70個、開館時間は17:30から21:30まで。開館時間が遅めであるのは、働く人すべてが、仕事のあとに利用できるようにするためでした。スペース不足が問題となり、1958年、移転するとともに県立図書館になりました。しかし、この場所も手狭になり、1987年、現在の場所に移り、名称も改め、今日に至っています。
 建物の歴史もおもしろかたったので、ご紹介します。現在の建物は、もとは16世紀後半に建てられた演劇場だったそうです。カサ・デ・コメディアス(Casa de Comedias)、または、テアトロ・デル・フォンタン(Teatro del Fontán)という名前だったとのことです。1901年、他の土地に、新しい劇場が建つことが決まり、この劇場は取り壊されることになりました。その際、正面玄関の装飾のみ残されました。現在の図書館は、1987年から、かつて劇場のあった場所に建ち、残された正面玄関の装飾を含め、建物の利用できる部分は再利用しているそうです。
 図書館のホームページを見ていて、興味を持ったのは、「図書館の宝石(Joyas de la Bibioteca)」という特集ページです。「宝石」として、次のようなものが紹介されています。

  • 1635年に刊行されたとされる聖地コバドンガ洞窟についての案内本
  • 16世紀後半に印刷されたアストゥリアス地方沿岸周辺の航海地図
  • レオポルド・アラス “クラリン”(Leopoldo Alas “Clarín”)の代表作『裁判官婦人(La Regenta)』の手書き原稿
  • 1538年に刊行された植物図鑑
  • ラモン・ペレス・デ・アヤラ(Ramón Pérez de Ayala)の『虎のフアン(Tigre Juan)』とその第2章『名誉の汚れを癒すもぐり医者(El cuaderno de su honra)』*1の手書き原稿
  • 16世紀後半から17世紀前半に刊行されたとされるアストゥリアス地方の歴史についての初版本

 これらの中で、特に興味を持ったのは、レオポルド・アラス “クラリン”(Leopoldo Alas “Clarín”、1852-1901)とペレス・デ・アヤラ(Ramón Pérez de Ayala、1880-1962)の小説の手書き原稿です。
 “クラリン”こと、レオポルド・アラスは、19世紀のスペインを代表する自然主義の小説家で、痛烈な批評家として恐れられたそうです。彼の代表作である、『裁判官婦人(La Regenta)』は、初老の裁判官と、若き既婚女性の不義の恋とその破滅を描いた小説なのだそうです。この図書館が「宝石」として所蔵する、手書き原稿には、作者自身が描いた登場人物のスケッチや、各登場人物の性格設定についてのメモが書かれていて、それらから、まさにこの小説をつくる過程が見て取れるとのことです。また、メモ書きから、タイトルについて、“La Regenta”にするか、“Vetusta”にするか、迷っていたことがわかるそうです。“Vetusta”とは、この小説が繰り広げられる架空の舞台で、実はオビエドのことであるとか。
 もう一人の、ペレス・デ・アヤラは、オビエド出身の作家、随筆家、政治家、大使と、多方面で活躍した知識人です。彼の書いた、『虎のフアン(Tigre Juan)』とその第2章『名誉の汚れを癒すもぐり医者(El cuaderno de su honra)』の手書き原稿にも、登場人物についてのスケッチが描かれているそうです。作品の全ページが完全に残っているわけではないですが、下線や校正が非常に少なく、きれいな原稿であるということです。また、この作品では、まさにこの図書館の前の姿である、カサ・デ・コメディアス(Casa de Comedias)や、すぐ近くにある、フォンタン広場(Plaza de Fontán)の描写がたくさん出てくるそうです。この作品の他にも、彼のその他の作品や、アソリン(Azorín、1874-1967)、アントニオ・マチャード(Antonio Machado、1875-1939)、バジェ・インクラン(Valle-Inclán、1866-1936)、ウナムーノ(Unamuno、1864-1938)など、当時を代表する知識人たちとの往復書簡などが、貴重なコレクションとして保管されているということです。
 以下、図書館と、「図書館の宝石(Joyas de la Bibioteca)」の特集ページです。ご興味があれば、どうぞ!

 最後まで読んでいただいて、有難うございました。

 他の【図書館】も見てみる!

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*1:ホセ・ガルシア・ロペス、『スペイン文学史』、白水社、1992、p.279

【スペイン図書館】オレンセにある公共の中央図書館

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 今日は、気ままに、ガリシア州のオレンセ県の県都、オレンセ(Ourense)にある、公共の中央図書館(Biblioteca Pública del Estado en Ourense)にやってきました。ガリシア州といえば、大西洋に面しているイメージがありますが、州内でもこの県のみ、海に面していません。農業が盛んで、トウモロコシ、ブドウ、ジャガイモの栽培が盛んです。ブタの飼育も行われ、スズ、タングステン花崗岩などの鉱物資源も豊富だとか。県都、オレンセは、ラ・コルーニャの南南東約125キロに位置します。街にはミニョ川が流れ、13世紀に造られた石橋がかかり、ゴシック様式の大聖堂があり、温泉も湧いているそうです。

 さて、このような街にある図書館はどんな図書館なのでしょうか。主な統計値を書きます。

  • 【主な統計値(2019年)】
    建物内図書館利用エリア: 6,258㎡
    入館者数:127,540人
    登録者数:39,304人
    所蔵資料総数:193,255件
    貸出総件数:83,575件
    (出典:スペイン文化・スポーツ省のページ

 この図書館のホームページを見て、まず気づくのは、デフォルト表示言語がガリシア語であること。スペインが多民族国家であることに改めて気付かされます。スペイン語には右上の言語切り替えボタン(Galego/Castellano)で切り替えることができます。
 図書館の歴史は、1845から始まります。この図書館も他の公共の中央図書館と同じように、初めは、修道院から譲り受けた資料を保管する役割を担っていたようです。1898年には、街の植物園の横に場所を移しました。その頃は、同じ建物を中等教育機関や美術館とを共有していたそうです。1927年には、火事に見舞われてしまいました。残った資料もあるものの、この火事で、17,000冊の資料が失われたという記録があるそうです。1930年には、ガリシア地方の議会により、図書館とミュージアムのために、街の宮殿の一部が提供されました。1978年からは、その建物を教育委員会と共有する形で、5つのフロアーを図書館として使用していたようです。現在の建物は、2019年に、新しい場所に建てられたものです。県立公文書館や県立ホールも入っているようです。街の文化活動の中心にふさわしい、地上3階建てのとても近代的な建物です。ホームページに、2019年までの図書館のパノラマ画像と、現在の図書館の写真が載っていたので、ご興味があれば、どうぞ!

 この図書館では、アトリエ企画がとても充実しています。大人を対象にした芸術講座、12歳以上の生徒を対象にしたコミック作成講座、6歳以上を対象にしたヨガ講座、6歳から12歳の児童を対象にした活動企画講座など、盛り沢山です。これらに加え、「新アトリエ企画」というものがあり、それにとても興味を持ちました。内容は、14歳から25歳の青少年を対象にした作文講座です。この講座の案内文の冒頭の一文です。

白い原稿用紙を前にして、何を書いたらよいかわからなくて、怖くなった経験はないですか。

 文章を書くのが苦手な方、苦手だった方には、痛いほど心に響く問いかけだと思われます。なぜなら、わたしの心には痛いほど響いてしまいましたから。何はともあれ、図書館で文章の書き方を教えてくれるなんてとても豊かなことだと思います。
 寄付についても、とても詳しく書いてあり、おもしろかったので、読んでみました。寄贈は、積極的に受け付けているとのことです。図書館の関心のある資料、ない資料、寄贈規則、受付期間が明確に書かれています。

関心のある資料

  1. 1958年以前の文書類
  2. オレンセに関係する地域刊行物やオレンセ出身の作家の作品
  3. 古典文学作品
  4. いろいろなテーマを扱ったの知識本
  5. スペイン語以外の書物
  6. 学校で読むことが義務付けられている文学作品(教科書自体ではない)
  7. DVD、CD、コミック

関心のない資料(1958年以前の文書類と地域に関する資料は除く)

  1. 下線が引かれている本、汚破損本
  2. 百科事典
  3. VHSのビデオテープ、カセットテープ
  4. 教科書

寄贈規則

  • 寄贈図書は、図書館まで持ってくること
  • 一度寄贈したら、その資料に関する一切の所有権を放棄すること
  • 一度寄贈したら返却はしないこと
  • 図書館にスペースがない場合、新たなスペースを割くことはないこと
  • その場合は、他の関連機関に回すことがあること

受付期間

  • 2021年10月6日(水)〜2022年5月18日(水)
  • 隔週の開催
  • 18:30〜20:00
  • 先行申込みは、2021年9月13日(月)から。電話かカウンターで申し込むこと。

 最後に、ガリシア州内の市町村立図書館マップがあったので、紹介します。図書館を表す、小さな神殿モニュメントがぎっしり。クリックすると、各図書館の情報がポップアップされます。図書館へのリンクがあるものもあります。図書館好きとしてはたまらないマップです。ご興味があれば、どうぞ!

 以下、図書館のホームページです。ご興味があれが、どうぞ!

 最後まで読んでいただいて、有難うございました。

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