今日は、気ままに、カナリア諸島のラス・パルマス県の県都、ラス・パルマス・デ・グラン・カナリア(Las Palmas de Gran Canaria)にある、公共の中央図書館(Biblioteca Pública del Estado en Las Palmas de Gran Canaria)にやってきました。カナリア諸島は、アフリカ大陸北西の大西洋上にあるスペイン領の諸島です。昔から様々な民族がこの諸島をめぐって争いましたが、15世紀末、すべての島がスペイン領となりました。北アフリカのモロッコから約115キロ、スペインからは約1,150キロ、飛行機で約3時間もかかるので、モロッコからの方が断然近いです。カナリア諸島は、2つの県に分かれています。東側が今回のラス・パルマス県、西側がサンタ・クルス・デ・テネリフェ県です。カナリア諸島全体としては、農業が盛んで、バナナ、サトウキビ、タバコ、オレンジ、ナツメヤシ、穀物類、ジャガイモ、ブドウなどが栽培されています。牧畜、漁業も盛んです。1950年代以降は、観光業が急速に発展し、ヨーロッパ各地からの観光客が多いのだとか。また、小鳥のカナリアの原産地としても有名です。今回紹介する図書館のある県都、ラス・パルマス・デ・グラン・カナリアは、大西洋における遠洋漁業の主要寄港地で、日本の遠洋漁船もここで給油を行うそうです。
さて、このような街にある図書館はどんな図書館なのでしょうか。主な統計値を書きます。
- 【主な統計値(2019年)】
建物内図書館利用エリア:3,369㎡
入館者数:356,808人
登録者数:37,900人
所蔵資料総数:263,014件
貸出総件数:111,609件
(出典:スペイン文化・スポーツ省のページ)
図書館の写真を目にしてまず目を引いたのは、その外装です。白色の石造りで、カナリア諸島の青い空にとても映えるのが印象的です。
この図書館の創立は1967年です。現在の、名義としては「国立」、実際の管理は「州」という管理体制になったのは、1984年のこと。建物と設備が新しくなったのは、1997から2001年の間とのことです。
この図書館も、ネット環境が充実しており、館内のすべての階でWiFiに接続可能、各階にインターネットにつながるパソコンが設置されており、その数36台。但し、公序良俗に反する内容のページへのアクセスは厳しく制限されています。15歳以下の利用者が館内でインターネットを利用する場合は、親もしくは法的後見人による署名入りの書類の提出が必要だとか。日本の図書館よりも、随分厳しい印象を受けます。
また、電子書籍の貸し出しや、ストリーミング機能を利用したオーディオ資料の貸出が行われています。サービス名は、“eBiblio y eFilm Canarias”このサービスにより、家にいながら、貸出・閲覧/視聴・返却が完結します。日本の県立図書館では、どのくらいの割合で、このようなサービスが提供されているのでしょうか。興味があります。
この図書館では、蔵書の充実のために、寄贈を積極的に受け付けています。寄贈図書として求められるのは、古書、カナリア諸島出身の作家により書かれた作品や、カナリア諸島について書かれた作品、また、できる限り状態の良いものに限るとのことです。寄贈したい本を図書館に持ち込む前に、まずは寄贈希望資料のリストを連絡先とともに送ってほしいと書かれています。図書館の棚に並ぶことは難しいことなのですね。
グアダラハラの公共の中央図書館の回で見たように、この図書館でも、「バーチャル読書会」を行っているそうです。伝統的な読書会のように物理的な空間に縛られることなく、ChatsやLINEを利用したオンライン読書会です。課題図書も冊子にこだわらず、さまざまなフォーマットで提供されるネット上の資料を利用するとのこと。また、この分野の専門家が、会の進行役を務めてくるそうです。現在、読書会のためのオンライン空間が3つ設けられているということです。のコロナ禍以降の読書会として、グッド・アイデア(ブエナ・イデア:Buena Idea)の気がします.
以下、図書館のホームページです。ご興味があれば、どうぞ!
最後まで読んでいただいて、有難うございました。
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