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【スペイン図書館】オリウエラにある公共の中央図書館

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 今日は、気ままに、バレンシア州アリカンテ県の街、オリウエラ(Orihuela)にある、公共の中央図書館(Biblioteca Pública del Estado en Orihuela – Fernando de Loazes)にやってきました。オリウエラの歴史は古く、その歴史は前1,500年まで遡れるそうです。セグラ川沿いの肥沃な低地に位置し、灌漑が発達しているため、農業が盛んで、オレンジ、綿花、トウモロコシ、穀物カーネーションなどを産するそうです。街なかには、14世紀に建てられた、サンティアゴ聖堂など文化遺産が多いとか。なお、カーネーションは、スペインの国花です。

 さて、このような街にある図書館はどんな図書館なのでしょうか。主な統計値を書きます。

  • 【主な統計値(2019年)】
    建物内図書館利用エリア:2,120㎡
    入館者数:83,650人
    登録者数:20,235人
    所蔵資料総数:192,830件
    貸出総件数:40,332件
    (出典:スペイン文化・スポーツ省のページ

 この図書館の歴史は、1863年に始まります。初めは、オリウエラ大学の資料を保管する役割を担っていました。この大学は、この街の総大司教であった、フェルナンド・デ・ロアセス(Fernando de Loazes、1497-1568) によって、1569年につくられましたが、1835年に廃止されてしまったようです。時を経て、1940年、建物の老朽化のため、場所を移転し、さらに、1992年にも移転し、その場所に、新しい建物が建てられ、今日に至っています。建物の設計は、バリャドリッド出身の建築家、アルベルト・カンポ・バエサ(Alberto Campo Baeza、1946-)。彼は、建築の分野に「ミニマリズム」の考え方を導入したことで知られ、数々の建築賞を受賞しているそうです。
 さて、これまで、図書館内で守るべき規則についてあまり触れてきませんでしたので、今回は、改めて見てみたいと思います。コロナウィルス蔓延防止のための規則も書かれていました。

コロナウイルス蔓延防止のための規則

  • マスクを付けること
  • アルコール消毒を怠らないこと
  • ソーシャルディスタンスを保つこと
  • 使用後は椅子を机の上にのせること
  • 書棚の本に勝手に触れず、図書館員に依頼いて取ってもらうこと

一般規則

禁止事項

  • 喫煙
  • 館内で携帯電話の電源を入れること
  • 飲食(水は除く)
  • 大声を出したり、読書を乱すような物音を立てること
  • 椅子や机などの場所を移動させること
  • 資料全体をコピーすること
  • 貸し出し処理せずに資料を持ち出すこと
  • 館内のものを粗末に扱うこと

補足注意事項

  • 各サービスの規則を順守すること
  • 図書館の提供するサービスは、それを求めるいかなる利用者にも開かれていること
  • 書棚に収められている資料の並び順を遵守すること
  • 図書館員、他の利用者、図書館の資産に対して常に敬意を払うこと
  • 図書館にふさわしい行動を保つこと
  • これら規則を守れない利用者には退出してもらう可能性があること

 以上、図書館であれば、古今東西を問わず、どこでもあるような内容でした。けれども、1つ気になったことがありました。それは、「コロナウイルス蔓延防止のための規則」の中の、「・使用後は椅子を机の上にのせること」という規則です。椅子の座る部分を机の表面に接する形で、机の上にのせるのでしょうか。その理由が気になりました。スペインの図書館で使われているような椅子は、きっと頑丈で重いでしょうに。使用後に、係の方が、床をすぐにアルコール消毒できるようにするためでしょうか。想像力を掻き立てられます。
 その他、目にとまったのは、オリウエラ出身の2人の知識人からの寄贈図書についての紹介です。オリウエラに親しむために、少し見てみることにしました。1人目の寄贈者は、ホセ・アンヘルエスクラ・カリリョ(José Ángel Ezcurra Carrillo、1921-2010)。オリウエラ出身の編集者、詩人なのだそうです。1946年に、バレンシア(Valencia)で、Triunfo(トリウンフォ、意味は「勝利」)という雑誌を創刊し、その編集長を36年もの間務めたそうです。この雑誌の他にも、演劇、映画、歴史についての専門誌の編集長を務め、民主主義の発展に貢献しました。2006年、彼から、Triunfoの寄贈を受けたそうです。
 2人目の寄贈者は、アドルフォ・リソン・ガデア(Adolfo Lizón Gadea、1918- 2011)。彼は、オリウエラ出身の作家、詩人、ジャーナリストなのだそうです。同じくオリウエラ出身の詩人、ミゲル・エルナンデス(Miguel Hernández、1910-1942)とも、サロンを通じて、交流があったそうです。1944年から30年間、ポルトガルに住み、スペインに帰国後は、マドリッドのコンプルテンセ大学の情報学部の教授を務めました。2020年10月1日から11月30日まで、この図書館で、彼についての展示会も開催されたとのこと。彼からも、多くの自著の寄贈を受けています。なお、前述した、ミゲル・エルナンデスは、農家出身の詩人で、フランコ政権下に捕らえられ、獄中で亡くなったのだそうです。
 最後に、図書館名称に付されている人名、フェルナンド・デ・ロアセス(Fernando de Loaces、1497-1568)は、オリウエラ出身の総大司教、政治家です。修道院をもとにした大学機関をつくるなど、この街の知的基盤の形成に尽くしたということです。2018年には、没後450年を迎たことも書かれていました。
 以下、図書館のホームページです。ご興味があれば、どうぞ!

 最後まで読んでいただいて、有難うございました。

 他の【図書館】も見てみる!

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【スペイン図書館】メリダにある公共の中央図書館

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 今日は、気ままに、エストレマドゥラ州のバダホス県の街、メリダ(Mérida)にある、公共の中央図書館(Biblioteca Pública del Estado en Mérida – Jesús Delgado Valhondo)にやってきました。メリダといえば、ローマ遺跡。街には、円形劇場(Anfiteatro)、ローマ劇場(Teatro Romano)、ローマ橋(Puente Romano)など、ローマ時代の建造物がたくさん残っています。そのため1993年には、世界遺産文化遺産に登録されています。ローマ時代には、属州ルシタニア(Lusitania)の首都としてイベリア半島でも有数の都市となり、9万人もの守備隊が置かれていたそうです。

 さて、このような街にある図書館はどんな図書館なのでしょうか。主な統計値を書きます。

  • 【主な統計値(2019年)】
    建物内図書館利用エリア:3,035㎡
    入館者数:140,657人
    登録者数:30,626人
    所蔵資料総数:123,051件
    貸出総件数:108,013件
    (出典:スペイン文化・スポーツ省のページ

 この図書館の創立は1999年。建物はとても近代的です。街の西部を流れるグアディアナ川の左岸に位置し、新市街地の入り口に建っています。道路を挟んで、真向かいはバスターミナル。メリダにバスで到着した場合は、目の前に図書館の建物が見えます。
 建物は、地上3階建て。特徴的なこととしては、1階に300人も収容するこのできるホールがあること、2階に54人収容のオーディオルームがあること。各階に自動貸出機が設置されていることなどがあげられます。
 建物を設計したのは、ルイス・アランス・アルゲロ(Luis Arranz Algueró、 1951-)というサラゴサ(Zaragoza)出身の建築家で、パレンシア美術館(Museo de Palencia)の修復設計も手掛けたそうです。メインの建物は、金属を基調としたガラス張りの3つの立方体が組み合わされ、その横の地面から、花崗岩を基調とした巨大なくさび型の建造物が生え出ているデザインです。くさび型の建造物の内部はホールになっているそうです。設計のコンセプトは、新旧の融合。まず、図書館の建っている場所が、新旧市街地を隔てるグアディアナ川のほとりであり、また、その場所は、新しいルシタニア橋と古代のローマ橋の新旧両橋に挟まれています。これら2項の融合を、新しいさを代表する素材の金属とガラス、そして、旧さを代表する素材の花崗岩で表現しているとのことです。
 この図書館のサービスで目にとまったのは、「録音図書(audiolibro)」のサービスです。聴覚の不自由な利用者のために朗読を吹き込んだ音声資料です。媒体は、CD-ROMで、この図書館には259件の所蔵があるようです。もちろん貸し出してもくれます。エストレマドゥーラ州は、他の公共の中央図書館と同じように、電子書籍をネットを介して貸し出すサービス(“eliblo”)が充実していますが、「録音図書(audiolibro)」のサービスも充実しているようです。
 また、めずらしいところでは、PlayStationXbox、Nintendo Wiiなどのゲームソフト、さらにそれらの攻略本の所蔵があることです。貸し出しについては書かれていませんでしたが、借りることもできるのでしょうか。ゲームソフトについては、カスティーリャ・ラ・マンチャ州シウダ・レアルの公共の中央図書館にも所蔵がありました。その他の図書館では、あまり見かけない例です。
 なお、図書館の名称に付されている人名、ヘスス・デルガド・バルオンド(Jesús Delgado Valhondo、 1909-1993)は、メリダ出身の詩人、散文家なのだそうです。彼は、多くの作品を残し、1978年、「スペイン語詩大賞」(Primer Premio de Poesía "Hispanidad")を受賞し、1988年には、「エストレマドゥーラ勲章」を授与されました。この功績が称えられ、図書館の名称に彼の名が付されているようです。
 以下、図書館のホームページです。ご興味があれば、どうぞ!

 最後まで読んでいただいて、有難うございました。

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【スペイン図書館】メリリャにある公共の中央図書館

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 今日は、気ままに、アフリカ大陸北部の地中海に面する、スペインの自治都市、メリリャ(Melilla)にある、公共の中央図書館(Biblioteca Pública del Estado en Melilla)にやってきました。メリリャは、セウタと同じように、アフリカ大陸にあるスペイン領の都市です。セウタの東南東約220キロに位置し、周りを囲むモロッコ領土とは壁をめぐらし厳重に分離されているということです。その歴史は古く、フェニキアカルタゴ、ローマの植民地、イスラム教勢力による支配を経て、1497年にスペイン領となり、今日に至っています。マラガなど、アンダルシア州南部のいくつかの港町からフェリーが出ているのですが、片道で6時間以上かかってしまうため、食料品や日常生活については、モロッコから入手しているようです。

 さて、このような街にある図書館はどんな図書館なのでしょうか。主な統計値を書きます。

  • 【主な統計値(2019年)】
    建物内図書館利用エリア:1,579㎡
    入館者数:61,826人
    登録者数:23,916人
    所蔵資料総数:105,758件
    貸出総件数:10,021件
    (出典:スペイン文化・スポーツ省のページ

 この図書館の創立は1989年、実際のサービスが始まったのは、1991年とのことです。2006年からサービスの向上が図られ、今日に至っています。新しい図書館であることがわかります。
 この図書館のホームページなのですが、これまで見てきた公共の中央図書館のものとは少し異なり、図書館専用の独立したホームページがないようです。自治都市の運用するホームページの中の1ページが図書館に割り当てられている形です。そのため、図書館についての情報量も少なく、少しさみしい感じを受けます。
 何かおもしろい情報はないかと探していたところ、図書館の開館時間に特徴がありました。

図書館のホームページの開館時間案内

図書館のホームページの開館時間案内
  • 時間割
    開館 午前9時30分から深夜0時
    クリスマスと聖週間(午前10時から深夜2時)

 「深夜0時」まで開館しているのでしょうか。クリスマスと聖週間は、なんと、「深夜2時」まで開館とあります。スペインの地方の街に住んでいたとき、日本での生活時間とは2時間の差があると感じていました。街が動き出すのは、日本は9時、スペインは11時、昼食は、日本は12時、スペインは14時、夕食は、日本は19時、スペインは21時。スペインでは、夏は、21時でも真っ暗になりません。マドリッドの緯度は北緯40度で、青森の八戸とほぼ同じであるにもかかわらず、暗くなる時間が日本と異なります。サマータイムで1時間進んでいることを考慮しても、スペインのほうが日本よりも日が長い印象を受けたのは気のせいなのでしょうか。当時も非常に不思議で、今でも不思議に思っています。友だちとの待ち合わせも、23時は一般的、親しい友だちとは深夜1時は当たり前。日本の生活になれてしまうと、本当にそんな時間帯で生活していたのだろうか、と当時の感覚を忘れてしまいますが、スペインに住んでいた時は、それが当たり前だったので不思議です。一方で、今自分の置かれている状況が当たり前のものでは決してないという視点を持てたという意味で、スペインで生活したことは、とても貴重な体験だったと感謝しています。
 このようなことを思い出してみると、「深夜0時」や「深夜2時」まで開館していることは、メリリャの時間の流れの中では、自然なことなのでしょう。
 とはいうものの、やはり気になり、いつも「主な統計値(2019年)」を確認している、スペイン文化・スポーツ省のページで、この図書館の開館時間を確認してみました。

スペイン文化・スポーツ省のページの開館時間案内

スペイン文化・スポーツ省のページの開館時間案内
  • 時間割
    月〜金:8:00 〜15:00、15:00 ~22:00
    土:9:30〜13:30
  • 夏の時間割(7月1日から9月17日)
    月〜金:9:00 〜14:00

 こちらのホームページでは、平日は22時まで、土曜日は13時30までという開館時間になっていました。図書館のホームページの案内とは、開館時間も閉館時間も異なっていました。また、「月〜金」の開館時間で、15時が重なっているのは不思議です。アフリカ大陸のメリリャではどんな時間が流れているのでしょうか。謎は深まるばかりです。
 以下、図書館のホームページです。ご興味があれば、どうぞ!

 最後まで読んでいただいて、有難うございました。

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