スペイン 気ままに ネット旅

スペインをネットで気ままに旅するブログ

【スペイン図書館】サモーラにある公共の中央図書館

f:id:kimamy:20211205092418p:plain

 今日は、気ままに、カスティーリャ・レオン州のサモーラ県の県都サモーラ(Zamora)にある、公共の中央図書館(Biblioteca Pública del Estado en Zamora)にやってきました。

サモーラってどんな街?

 サモーラは、スペイン北西部に位置する、ドゥエロ川に面した街。かつてはレオン王国の主要都市として栄えました。県としては、西側でポルトガルと国境を接しています。主要農産物は、穀物と豆類で、ワイン、亜麻布なども産します。高地では、ヒツジやヤギの飼育がなされており、そのため、毛・綿織物産業も盛んです。街には、8世紀の砦、12世紀のロマネスク様式の教会、14世紀のアーチ橋があります。

図書館の場所と歴史

 このような街にある図書館は、どんな図書館なのでしょうか。まずは、図書館の現在地です。以下の地図からどうぞ!

 この図書館の主な統計値を見てみます。

  • 【主な統計値(2019年)】
    建物内図書館利用エリア:3,800㎡
    入館者数:230,956人
    登録者数:30,880人
    所蔵資料総数:273,267件
    貸出総件数:140,350件
    (出典:スペイン文化・スポーツ省のページ

 この図書館の歴史は、1846年に始まりました。他の公共の中央図書館と同じように、初めは、19世紀に行われた永代所有財産解放の過程で閉鎖された修道院の資料を、保管していたようです。1895年から県立図書館となりますが、建物は他の公共施設と共有していました。1935年場所を移し、1957年からは、県内の市町村立図書館をシステムを通して統べる役割を担うようになります。1971年には、文化会館の建物の中に、歴史公文書館とともに入ります。この頃から、市民による図書館の利用が増えてきたそうです。1987年、名義は国、実際の管理は州という現在の管理体制になり、1999年から2002年には、拡張工事が行われ、利用面積もそれまでの2倍になり今日に至っています。建物は3階建てのとても立派なもので、内部にはアーチあります。

アクセシビリティの追求

 この図書館のホームページの主だった案内ページには、画面の左上にスピーカーマークがついていて、目の不自由な利用者のために、そのページのタイトルと本文を自動音声で読み上げてくれます。タイトルだけを自動音声で読み上げてくれるサービスは、バリャドリッドの公共の中央図書館にもありましたが、本文まで読み上げてくれるのはこの図書館が初めてです。

スマホ用アプリの提供

 この図書館は、利用者に対し、専用のスマフォ用アプリを提供しています。そのアプリは利用者カードも兼ねています。本人だけではなく、家族内の扶養者や未成年のカードを登録することもできるそうです。このアプリから、カスティーリャ・イ・レオン州内の市町村立図書館へのアクセスや、主なサービスの利用ができて、とても便利とのことです。日本に、利用者用のアプリを提供している図書館はあるのでしょうか。

スポンサーリンク

 

 

充実した展示

 この図書館には、とても広い展示空間があり、展示活動が盛んです。展示のテーマは、主に本や読書に関するもの。過去には、以下のような展示会が開催されました。どれもおもしろそうです。

  • サンティアゴ巡礼の今と昔(AYER Y HOY DE LOS CAMINOS A SANTIAGO POR CASTILLA Y LEÓN. EL CAMINO FRANCÉS)
  • 飛び出す絵本のクリスマス(NAVIDADES DE PAPEL)
  • ドイツ現代文学(LITERATURA ALEMANA CONTEMPORÁNEA)
  • 第10回カスティーリャ・イ・レオン建築賞(X PREMIO DE ARQUITECTURA DE CASTILLA Y LEÓN)
  • 紙でつくったベレン(EL BELÉN DE PAPEL. COLECCIÓN HERNANZ-CASADO)
  • ドゥエロ川の風景(PAISAJES DEL DUERO-DOURO. FÉLIX NAVARRO, RAFAEL NAVARRO)
  • 写真で振り返るウナムーノの生涯(MIGUEL DE UNAMUNO. UNA VIDA EN FOTOGRAFÍAS)
  • 学生寮(EXPOSICIÓN LA RESIDENCIA DE ESTUDIANTES)
  • クリムト:現代美術の先駆者(GUSTAV KLIMT: PIONERO DEL ARTE MODERNO)
  • ヘルマン・ヘッセ:人生と作品(HERMANN HESSE. VIDA Y OBRA)

移動図書館

 この図書館は、移動図書館サービスの充実を図っています。このサービスが始まったのは、1985年頃。当時、県内には、児童、生徒用の図書館が不足していました。そこで、県民の読書水準を高めるために、このサービスが始まりました。移動図書館の活動の普及のために、レクリエーション、作品や作家の紹介、読み聞かせなどを行い、さまざまな工夫をしてきました。そのかいもあって、この図書館の人気のサービスとなり、県民の読書力の向上にも貢献できたとのことです。移動図書館の活動を発信するSNSがありますので、ご興味があれば、どうぞ!

図書館のホームページ

 最後まで読んで頂いて、有難うございました。

 他の【図書館】も見てみる!

f:id:kimamy:20211205092418p:plain

スポンサーリンク

 

 

ページトップへ

【スペイン図書館】バリャドリッドにある公共の中央図書館

f:id:kimamy:20211205092418p:plain

 今日は、気ままに、カスティーリャ・レオン州バリャドリッド県の県都バリャドリッド(Valladolid)にある、公共の中央図書館(Biblioteca de Castilla y León / Biblioteca Pública del Estado en Valladolid)にやってきました。

バリャドリッドってどんな街?

 13世紀初めに一時はカスティーリャ王国の王宮が置かれたこともありました。1469年には、カスティーリャ王国のイサベル(Isabel I, la Católica、1451-1504)とアラゴン王国のフェルナンド(Fernando II,Fernando el Católico、1452-1516)の結婚式がこの地で行われました。また、アメリカ新大陸を発見したコロンブス(Cristóbal Colón、1451頃-1506)が死去した地でもあります。県の北部はスペイン有数の穀倉地帯の1つで、ムギ、サトウキビ、トウモロコシの栽培が盛んです。産業では、繊維、食品、機械工業が盛ん。街中には、12世紀のサンタ・マリア教会、16世紀の大聖堂、1346年に創立されたとされる大学があります。

図書館の場所と歴史

 このような街にある図書館は、どんな図書館なのでしょうか。まずは、図書館の現在地です。以下の地図からどうぞ!

 この図書館の主な統計値を見てみます。

  • 【主な統計値(2019年)】
    建物内図書館利用エリア:5,800㎡
    入館者数:481,227人
    登録者数:87,712人
    所蔵資料総数:709,447件
    貸出総件数:273,988件
    (出典:スペイン文化・スポーツ省のページ

 この図書館の外観はとても立派です。それもそのはず、この図書館のもともとの建物は、もともとはバリャドリッドのベナベンテ伯爵の住まいで、この地において最も重要な宮殿の1つでした。建てられたのは1515年。16世紀の中頃には、スペイン帝国最盛期の国王、フェリペ2世(Felipe II、1527−1598)や、フェリペ3世(Felipe III、1578−1621)の住居になったこともあるそうです。時代が下り、19世紀初頭から1970年代にかけて、街の孤児院として使用されるようになります。その後、1980年代より、公共図書館として使用されるようになりました。孤児院で育った方々がお年を召して久しぶりに図書館を訪れて思い出を語るページがありました。スペイン語なので、難しいですが、画像には、当時の孤児院であったときの映像も重ねられたりして興味深いです。ご興味のある方は、以下のリンクから、どうぞ!

孤児院で過ごした方々のインタビュー

アクセシビリティ向上の試み

 この図書館のホームページには、ページのタイトルの横に音声再生ボタンが付いていて、そのボタンを押すと、ページタイトルを読み上げてくれる機能があります。ただ、本文までは読み上げくれません。しかし、目の不自由な利用者にとっては、そのページがどんなページがわかるのでともて助かる機能だと思います。

ボードゲームの所蔵

 この図書館は、ボードゲームをとても多く所蔵しています。所蔵しているボードゲームのリストをPDFファイルでダウンロードすることができます。実際にダウンロードしてみたところ、なんと213ページもありました。1ページに1つずつゲームが載っていますので、約200個!?ボードゲームについては、サンティアゴ・デ・コンポステーラにある公共の中央図書館でも所蔵がありました。ボードゲームは、決断力を養うのにとても適しているということです。貸出期間は、15日間。次に予約が入っていなければ、さらに15日間延長できるそうです。

ボードゲームの所蔵を紹介するページ

ボードゲームで遊ぼう

 ボードゲームを所蔵しているだけではなく、この図書館は、小学生(7歳から12歳)の利用者のために、ボードゲームの会を周期的に開催しているようです。定員は10名。次のようなボードゲームをみんなでするそうです。どんなルールなのかよくわかりませんが、タイトルを見ているだけでおもしろそうです。

  • ウサギとカメ(La liebre y la tortuga)
  • ラッシュアワー(Rush hour)
  • 魔法の迷宮(El laberinto mágico)
  • たけのこ(Takenoko)
  • ピコ−ピコ(Piko-piko)
  • どうぶついっぱい(Animal sobre animal)
  • タブー(Tabú)
  • ジャングルスピード(Jungle speed)
  • 3×4 バン!(3x4 Zas!)

ボードゲームサークルのページ

ロボットについて学ぼう!

 ボードゲームの会の他にも、小学生の利用者を対象に、ロボットを学ぶための会(TALLERES DE ROBÓTICA)もあります。次のようのプログラムが用意されています。こうした会を通して、この分野やつくることに興味を持ってもらえればよいですね!

  • ロボット工学の基礎を学ぶ教室
  • ロボット工学の歴史を学ぶ教室
  • アンドロイドについて学ぶ教室
  • レゴのパーツを使って簡単なロボットをつくる教室
  • レゴのパーツを使ってコントロール可能のロボットをつくる教室

ロボット教室の紹介ページ

充実したブログ

 この図書館では、4つのブログを公開しています。どのブログも更新頻度が高く、活動の活発さが伝わってきます。ご興味がれば、以下のリンクから、どうぞ!

盛んなSNS発信

 SNSによる情報発信も盛んです。いくつか見てみたのですが、You Tubeで、男の子が館内を探索するという設定で、各フロアや館内設備を紹介していく動画がとてもよいと思いました。また、Issuuというもので、推薦図書や、図書館発行の刊行物が公開されています。日本の図書館のホームページではあまり見かけないサービスなので、興味を持ちました。ご興味があれば、以下のリンクから、どうぞ!

図書館のホームページ

Biblioteca de Castilla y León | Biblioteca de Castilla y León | Junta de Castilla y León

 最後まで読んで頂いて、有難うございました。

 他の【図書館】も見てみる!

f:id:kimamy:20211205092418p:plain

スポンサーリンク

 

 

ページトップへ

【スペイン図書館】テルエルにある公共の中央図書館

f:id:kimamy:20211205092418p:plain

 今日は、気ままにアラゴン州のテルエル県の県都、テルエル(Teruel)にある、公共の中央図書館(Biblioteca Pública del Estado en Teruel – Javier Sierra)にやってきました。

テルエルってどんな街?

 テルエル県は、アラゴン州の南部に位置する県です。県内の4分の3はイベリア山系に属し、山間部は冬に豪雪に見舞われることが多いそうです。産業としては、大理石、コムギ、ワイン、チーズ、羊毛などのほか、鉄鉱石、鉛などの鉱石も産します。県都であるテルエルは、地中海に面したオレンジで有名な街であるバレンシアの北西約110キロに位置します。街は城壁に囲まれていて狭い街路が入り組む旧市街と、その郊外の近代的な新市街からできています。旧市街にあるムデハル様式の聖堂群は、1986年に世界遺産文化遺産に登録されました。また、スペイン内戦(1936-1939)の激戦地としても有名です。

図書館の場所と歴史

 このような街にある図書館は、どんな図書館なのでしょうか。まずは、図書館の現在地です。以下の地図からどうぞ!

 この図書館の主な統計値を見てみます。

  • 【主な統計値(2019年)】
    建物内図書館利用エリア:2,002㎡
    入館者数:195,913人
    登録者数:22,101人
    所蔵資料総数:114,135件
    貸出総件数:48,746件
    (出典:スペイン文化・スポーツ省のページ

 この図書館の歴史は、19世紀の中頃に廃止された神学校の資料を保管することから始まります。1878年には、公共図書館となり、その後、1941年頃、神学校の図書室と公共図書館が分離し、公共図書館の方では、発禁された書物や、地域資料、その他、幅広いジャンルの資料を扱うことになったそうです。1953年には場所を移し、公文書館と博物館と同じ建物に入ります。1957年には、テルエルに文化会館が創立され、その中に図書館も入ることになりました。1999年、拡張工事と改装工事がなされ、2019年には、名称も現在のものになりました。建物はとても立派で、地下1階、地上3階建て。正面玄関の造りは、アラゴン地方のルネサンス期の宮殿を彷彿とさせます。

SDGsへの協力

 この図書館は、SDGsに積極的に協力しようとしています。2030年までに人類が達成すべきと定められた17の目標に向けて、図書館としてどのように貢献することができるか、という考え方のもと、情報アクセスの機会均等という観点から、すべての人たちにさらに開かれた図書館を目指しています。SDGsは、スペイン語では、“Objetivos de Desarrollo Sostenible (ODS)”というのですね。初めて知りました。

スポンサーリンク

 

 

図書館名称に付されているハビエル・シエラとは?

 図書館名称に付されている人名、ハビエル・シエラ・アルベルト(Javier Sierra Albert、1971−)は、テルエル出身の作家、ジャーナリストで、北米のベストセラーランキングのベスト10に入ったこともあるほど、人気があるそうです。その栄誉を称え、この図書館は、彼の蔵書コーナーをつくりました。彼の全著作、世界各国で翻訳された作品を、本だけに限らず、すべての媒体で1部ずつ所蔵しているそうです。地元紙のインタビューによれば、彼が初めて図書館カードを作ったのがこの図書館で、いつか自分の本が書棚に並ぶことが彼の夢だったとのことです。

充実した読み聞かせ動画

 この図書館は、You Tubeを利用して、子どもの利用者への読み聞かせ動画をたくさん公開しています。図書館に足を運ぶことなく、おうちで読み聞かせを楽しめるようにという企画です。いくつか見てみましたが、語り手が仮装したり、人形劇があったり、とても充実しています。ご興味があれば、以下のリンクから、どうぞ!

読み聞かせ動画のページ

 以下、図書館のホームページです。ご興味があれば、どうぞ!

図書館のホームページ

 https://www.bibliotecaspublicas.es/bpeteruel/

 最後まで読んで頂いて、有難うございました。

 他の【図書館】も見てみる!

f:id:kimamy:20211205092418p:plain

スポンサーリンク

 

 

ページトップへ

© 2021 きまま