今日は、気ままに、アラゴン州のウエスカ県の県都、ウエスカ(Huesca)にある、公共の中央図書館(Biblioteca Pública del Estado en Huesca)にやってきました。ウエスカの歴史は古く、古代イベリア人により築かれたそうです。ローマ時代には、造幣所が置かれていました。11世紀には、アラゴン王国に入ります。一時、その首都になったこともあるとか。南西に位置するサラゴサ(Zaragoza)と、一方でピレネー山脈を越えたフランスのポー(Pau)と、鉄道と道路で結ばれている交通の要所です。県内のオルデサ・イ・モンテ・ペルディード国立公園(Parque Nacional de Ordesa y Monte Perdido)は、壮大な風景で知られています。ピレネー山脈の麓。大自然を満喫できるようです。
さて、このような街にある図書館はどんな図書館なのでしょうか。主な統計値を書きます。
- 【主な統計値(2019年)】
建物内図書館利用エリア:1,364㎡
入館者数:148,444人
登録者数:13,323人
所蔵資料総数:141,634件
貸出総件数:84,487件
(出典:スペイン文化・スポーツ省のページ)
この図書館は、1845年に創立されました。セルトリアーナ大学(Universidad Sertoriana)という大学があり、1845年、その大学が廃止されてしまい、初めは、その大学の所蔵図書を保管する役割を担ったようです。他の公共の中央図書館の歴史が修道院から譲り受けた資料を保管することから始まったのとは少し異なるケースです。建物は、旧大学の立派な建物をそのまま使用しました。1870年には、修道院から2,500冊の資料を譲り受け、その後、大学の資料とあわせて、25,000冊に増えました。それら資料は、現在の貴重書コレクションの中核をなしています。最近では、2019年に、イエズス会系の旧図書館から寄贈を受け、今日でも、貴重書のコレクションは増え続けているということです。
この図書館のホームページを見ていて、他の公共の中央図書館にはないサービスとして、フェミニズムや多様性について話し合うためのスペースを設けていることがあげられます。2020年、アラゴン女性協会から場所の提供を求められたのが始まりだとか。このスペースで、週に1度、フェミニズムについての読書会が開催されているそうです。初めは少なかった関連資料の蔵書も、今では、500タイトル以上となり、地元では、平等や多様性を認め合う活動拠点の1つになっているとのことです。
また、子どもの利用者に対する企画や展示がとても活発です。絵本や児童書をショーウィンドウ越しに紹介する展示、路地裏散策のおもしろさを伝える展示、自分たちの街や家庭など身近な場所からSDGsを考える展示、大切な人の死がテーマの本の展示、紛争やDVなどで家庭から離れて暮らすことを余儀なくされている人たちがテーマの展示、水の大切さを伝える展示、地元アラゴン出身の児童書作家を紹介する展示、詩や韻文の美しさを伝える展示、夏休みに家庭で読む本を紹介する展示、家族みんなで楽しめるような本を紹介する展示、平等がテーマの展示、言葉ではなくイメージだけで伝える本を紹介する展示。とにかく盛りだくさんです。それぞれどんな展示なのか、興味を持ちました。
以下、図書館のホームページです。ご興味があれば、どうぞ!
- 図書館のホームページ
最後まで読んでいただいて、有難うございました。
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